棋王戦
棋王戦が始まりました。渡辺明棋王(二冠)に永瀬拓矢王座が挑戦するのですが,渡辺棋王はこの棋戦に強く9連覇中です。対戦成績でも永瀬王座を圧倒しているのですが,初戦が始まる前に5連敗中であったこともあり,対局前の予想では五分五分というところでした。初戦は激戦でしたが,渡辺棋王が勝ちました。本日の第2局も,渡辺棋王が貫禄を見せました。2冠に転落したあとだったのでどうかと思いましたが,相性の良い永瀬王座相手で,実力を十分に発揮した感じです。棋王戦は5番勝負ですので,タイトル防衛に王手がかかりました。
A級順位戦は,先日,羽生善治九段のA級陥落の速報を書きましたが,その日はラス前の一斉対局で,斎藤慎太郎八段が豊島将之九段に勝って,8連勝で最終局を待たずに2年連続の名人挑戦を決めました。斎藤八段の順位戦の充実ぶりは際立っています。四強から藤井一強時代になろうとしているなか,斎藤八段に名人をとってもらい,藤井五冠のライバルになってもらいたい気がします。A級はすでに山崎隆之八段の降級も決まっていて,将棋界の一番長い日と言われる最終局(3月3日)は珍しく平穏な日となりそうです(とはいえ,来期の順位を決める熾烈な戦いはあります)。
B級1組は,藤井聡太五冠(対局当時は四冠)が阿久津主税八段に勝って9勝2敗となりましたが,A級昇級決定は最終局に持ち越しとなりました。稲葉陽八段は松尾歩八段に勝って8勝3敗となり,最終局に勝てば1期でA級に復帰です。今回は空け番であった千田翔太七段も8勝3敗です。昇級の可能性があった佐々木勇気七段は郷田真隆九段に敗れて7勝4敗となり昇級はなくなりました。7連勝したのに,その後の4連敗で失速してしまいました。最終局は,藤井五冠と佐々木七段が対局します。藤井五冠のデビュー来の連勝を止めたのが佐々木七段でした。もし最終局に藤井五冠が敗れて,稲葉八段と千田七段が勝つと,9勝3敗で3人が並び,そうなると順位が上の稲葉・千田の昇級となります。逆に稲葉,千田のどちらかが敗れると,藤井五冠は負けても昇級です。一方,降級争いも熾烈です。松尾八段の降級が決まりましたが,残りの2人は,3勝8敗で並んでいる木村一基九段,久保利明九段,阿久津八段のなかからとなります。久保九段と阿久津八段は直接対決で,負ければ即降級です。勝っても,木村九段が勝てば木村九段が残留です(木村九段が,久保九段と阿久津八段よりも順位が上)。
B級1組の最終局は3月9日です。今年の将棋界の一番長い日は3月9日といえるかもしれません。
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