羽生九段がA級陥落
将棋界のレジェンドである羽生善治九段が,A級順位戦で永瀬拓矢王座に敗れA級からの降級が決定しました。一般の人にはなかなか理解できないことかもしれませんが,A級棋士というのは,タイトル保持者に匹敵するくらい,トップ棋士の証しです。しかし実力の世界なので,誰でもいつかは陥落するのです(大山康晴15世名人のような,A級棋士のまま亡くなるという超人は例外です)。谷川浩司九段が2014年にA級からの陥落が決まったときも,どの新聞か忘れましたが(たぶん朝日新聞?),朝刊の1面に出ていました。順位戦は恐ろしいもので,少し力が落ちてくれば,たちどころに陥落してしまいます。1年間の長丁場の戦いなので,ごまかしがきかないということでしょう。
7冠(のみならず永世7冠)を達成し,ずっとタイトル保持者であった羽生九段も,2018年に竜王をとられて無冠になってからタイトルはとれていません。2020年に竜王戦の挑戦者になりましたが,当時の豊島将之竜王に敗れました。その後,藤井聡太が出てきて,四強の時代が来て,羽生九段のタイトル挑戦が遠のいていきました(それでも棋界最高峰の竜王戦の最高クラスの1組にいます)。A級から陥落しても,復帰するという例はありますが,この年齢になってからの例はほとんどありません(ひふみんと有吉道夫だけだったように思います)。永世名人では森内俊之九段(引退後は18世名人)は,A級から陥落したとき,B級1組では指さないで,フリークラスに転出しました(順位戦には参加しないということです)。谷川浩司九段(引退後は17世名人)は,B級1組でも指し,現在はB級2組で指しています。今期も出だしは1勝6敗となりましたが,その後3連勝して降級点を免れました(B級2組は1期では降級せず,降級点が2回つくと降級します)。もう若手にはなかなか勝てなくなっていますが,アラ還で頑張っています。そして,ついに羽生九段(引退後は19世名人)にも,そのときが訪れてしまいました。来期はどうするのでしょうね。
今日がその日になる可能性が高いとは思ってはいましたが,いざそうなると寂しいものがあります。藤井聡太四冠のまばゆいばかりの活躍のなか,絶対王者だった羽生九段のA級陥落に,人生の無常を感じます。
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