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2022年2月28日 (月)

Black February

 20222月は今日で終わりです。2月は28日しかないので(閏年でも29日),例年であれば,入試などもあってバタバタしてすぐに終わるという感じですが,今年は濃密な1カ月だったように思います。後世に,「ブラック・フェブラリー(Black February)」と呼ばれるかもしれません。まず北京オリンピックがありました。日本や欧米の外交ボイコットに始まり,スポーツの政治利用が露骨に示された大会でした。個々の競技では楽しめたものの,審判の不公平感のあるジャッジなどで,選手のせっかくの活躍に水を差してしまうこともありました。一方で,カーリングの透明感のあるルールが,選手たちの個人的な魅力とも相俟って,スポーツとしての品の高さを感じました。
 女子フィギアスケートはドーピング問題が残念でしたが,神戸出身の坂本花織さんの銅メダルは,ほんとうに良かったと思っています。ドーピング疑惑のワリエワ選手の失速は,坂本選手にとってはとてもラッキーでしたが,彼女は結果に胸を張ってよいと思います。むしろ坂本さんは,すごいジャンプがないなかで,着実に自分のできる技をパーフェクトにこなすという地道なことに徹した結果,幸運がめぐりこんできたのです。彼女の成功は,自分のもてる力をしっかり出し切ることが大切というとても重要なことを教えてくれたと思います。小林陵侑選手の活躍,カーリング女子の銀メダル,平野歩夢選手の「怒り」の金メダルも印象的です。
 そうは言いながら,最も印象に残ったのは,やはり純粋にスポーツを楽しみきれない,スポーツ外の話題であり,それはIOCのもついかがわしさに起因しているのでしょうね。オリンピックへの関心を失った人も多いのではないでしょうか。
 もう一つのBlackは,もちろんロシアのウクライナ侵攻です。いつも書いているように,ロシアは信用できない国ですが,今回はひどいことになりました。ロシアの暴走は,Putinだけの問題かどうかよくわかりませんが,誰も止められず,いまのところ国際社会も,なかなか効果的な対応ができていません。中国がロシアの味方であるかぎり,経済制裁の効果にも限界があるでしょう。国連の安全保障理事会は,常任理事国であっても,当事国が採決に加わるのはおかしいと思うのですが,そういう常識的な感覚が通用しないところなのでしょう。これだと拒否権のある常任理事国は国連を無視して何でもできることになってしまいます。この点で,国連はすでに根本的な矛盾をかかえているのでしょう。アメリカにしろ,ロシアにしろ,中国にしろ,狂った指導者が出てくる可能性は否定的でないのであり,そういうことも考慮した安全保障体制の構築が重要であることが,今回の教訓だと思います。核兵器をもつ国が,他国には核兵器をもたせないのに,自らは核兵器の脅威をちらつかせて屈服を迫るという異常性にも目をむけなければなりません。核保有国の狂ったリーダーが血迷って核兵器を使うかもしれないという危険が,リアリティをもって示されました。核兵器の抑止力というような甘いものではないのです。
 ウクライナへの攻撃は,NHKの普通の時間帯のニュースでも流れていますが,小さい子どもには見せられないような映像だと思います。でも子どもたちに現実を知らせなければならないのかもしれません。Putinの犯した罪は,あまりにも大きいものです。台湾有事に絡めて議論する人もいますが,人類がこの危機をどうやって乗り越えていくのかという,もっと大きな視点で考えいく必要があります。日本の政府にも,しっかりした役割を果たしてもらいたいですが,期待できるでしょうか。

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