島村暁代『プレップ社会保障法』
弘文堂のプレップシリーズから出た島村暁代さんの社会保障法は,素晴らしい内容だと思いました。お送りいただき,ありがとうございました。身近な社会保障の問題を,わかりやすく説明してくれているので,社会保障法の勉強をしようと肩に力を入れなくても,自然に学べます。
私にとっては,労働法は,自分が労働者であるとはいえ,実際に活用することがほとんどないのに対して,社会保障法は,活用しなければ生きていけません(なお本書には労働法のことがきちんと書かれている点も素晴らしいです)。本書はライフステージごとに書かれていて,私の場合でいえば,もうすぐ高齢者になるので,それに備えてと思って高齢者のところから読んでみました。これだけわかりやすく書かれているものに出会ったことはありませんでした。住宅のことまで書かれていて,手取り足取りです。
ちまたにある本やネット情報では手続的なところとか,実務的なところはわかっても,制度の基本というところがよくわからないという点に不満がありました。本書は制度の基本から過不足なく説明がなされていて,これは手元に置いておく価値のある本だと思いました。著者は,社会保障の全体像を体系的に理解したうえで,解きほぐして説明してくれているのであり,その力量の高さがわかります。
社会保障は全世代にまたがるものであり,みんなが手にとって読む必要があります。最近は★をつけることをしていませんが,これは法律書というカテゴリーを超えて,まさに一般の良書として★を5つ付けたい気持ちです。社会保障制度はよく変わるので,みんなが購入して支えて,ずっとアップデートしつづけてもらいたいです。
« ナッジ | トップページ | Black February »
「読書ノート」カテゴリの記事
- 島田先生古稀記念論集(2023.01.29)
- 野田進『フランス労働法概説』(2023.01.25)
- よくわかる!労働判例ポイント解説集(第2版)(2023.01.21)
- プレップ労働法(2023.01.20)
- 荒木尚志『労働法(第5版)』(2022.12.30)