王将戦第3局
NHKの19時のニュースでも速報的に報道されていました。これはいまや国民的大ニュースなのでしょうかね。藤井聡太四冠が,渡辺明三冠に挑戦している王将戦は,挑戦者の藤井四冠が勝ち3連勝となりました。これで王将位奪取に王手がかかりました。対局の内容は,難解でスリリングでした。現代将棋の特徴で,あまり王を囲わないので,少しのミスが命取りになり,緊迫感がある内容でした。先手だった藤井四冠は,2日目の午後あたりからでしょうか,猛然と攻めていき,最後は難しい超手数の詰み筋で,渡辺三冠を投了に追い込みました。
王将戦が始まる前は,渡辺三冠は,藤井四冠との対戦成績で分が悪いとはいえ,これまでの実績もふまえれば,まだ現在の棋界の第一人者とみられていましたが,もし4連敗で王将位を奪われるようなことがあれば,完全に藤井時代が来たことになります。少し前までは将棋界の四強という言葉もありました(藤井四冠と渡辺三冠以外に,豊島将之九段と永瀬拓矢王座)が,永瀬王座はこのなかでは少し実績に見劣りがし,また豊島九段は,一時は名人・竜王をもつ最強棋士でしたが,現在は無冠ですし,とくに昨年秋に竜王戦で藤井四冠に4タテされて無冠になったこともあり,もはや四強は二強に減り,そしてそれが一強になろうとしつつあります。
藤井四冠といっても,すべて勝てるわけではなく,2割は負けることがあるのですが,それでも番勝負のタイトル戦で藤井四冠に勝ち越すというのは,現状ではきわめて難しそうです。王将戦は,夢の八冠という目標に到達するまでの一里塚にすぎないのかもしれません(早ければ1年半後ということもありえます)。NHKでは,史上最年少の10代の5冠ということが盛んに強調されていて,確かに,これは大変なことなのですが,むしろデビューから,いろんなタイトルを獲得していくスピードが驚異的です。とはいえ,そう簡単に八冠を許してはいけないでしょう。誰かライバルが出てこなければ面白くありません。ということで,渡辺三冠に,ぜひもう少し頑張ってもらえればと思います。