王将戦で藤井先勝
昨日から王将戦が始まりました。渡辺明王将(名人,棋王)に,藤井四冠(竜王,王位,叡王,棋聖)が挑戦します。藤井四冠にとっては史上最年少五冠を目指した戦いとなります。第1局は,スリリングな終盤戦となりましたが,最後は見事に渡辺玉を即詰みに討ち取り,藤井四冠が先勝しました。途中で渡辺王将は投了しましたが,最後まで指すと天王山(5五)で玉が詰むというものでした。第1日目は,藤井四冠の41手目の8六歩が話題となりました。プロの誰もが良いわけがないと感じた手だったのですが,実はそうでもなかったということで,プロ棋士の将棋観を変えるような凄い手だったようです。
渡辺王将は,直近の対局では,銀河戦で藤井四冠に勝っているのですが,その棋戦では決勝で菅井竜也八段に敗れて優勝を逃しました。調子に乗り切れていないかもしれません。対戦成績は藤井四冠とはかなり分が悪く,タイトル戦でも負け続けていますが,このままずるずると引き下げるとは思えません。渡辺王将は,2月から棋王戦で,永瀬拓矢王座の挑戦を受けた防衛戦も始まりますが,ここは踏ん張りどころですね。もはや豊島将之九段では止められなくなった藤井四冠の進撃を止める現時点の最後の砦が渡辺三冠です。
名人位をもつ渡辺三冠への挑戦をかけたA級順位戦は,齋藤慎太郎八段が羽生善治九段に勝って7連勝で,ほぼ挑戦権を手中におさめた感じです。昨年に続いて2年連続の挑戦となれば,たいしたものです。一方,羽生九段は2勝5敗となり,A級残留に黄色信号がともりました。稀代の大棋士も,年齢には勝てないということでしょうか。来期は藤井四冠がA級に昇級する可能性が濃厚でしょうから,順位戦で羽生九段とあたらないまま終わる可能性もあります。
羽生九段の残りの対局相手は,永瀬王座と広瀬章人八段です。順位が悪いので,連勝しなければ残留は厳しいかもしれません。その他の降級候補は,山崎隆之八段です。現時点で1勝5敗です。豊島九段,広瀬八段,永瀬王座との対局が残っているので,残留は難しいでしょうね。せっかく苦労してA級に上がったので,もう少し頑張って欲しかったのですが。菅井八段も2勝4敗で危ないです。広瀬八段,佐藤康光九段,豊島九段との対局が残っています。このほか3勝3敗勢にも降級の可能性はあるので,これから熾烈な戦いが始まるでしょう。