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2022年1月11日 (火)

最新重要判例200労働法

 弘文堂から刊行している『最新重要判例200労働法』の第7版が届きました。今回も編集者の清水千香さんには,大変お世話になりました。2009年の初版から13年経ちます。2年に1回のペースで版を重ねることができたのは,ひとえに読者の皆さんのおかげです。
 第7版では,7つの判例を新たに追加しました。判例のチョイスについては異論もあるかもしれませんが,私の独断で現時点で掲載したほうがよいと考えた判例を選択しています。また今回は昨年刊行した『人事労働法』とも連動させています。『最新重要判例200労働法』では限られた字数のなかで,判例実務を意識した解説になっているので,企業人事に関係する点や私見については『人事労働法』を参照してもらえればと思っています。LSの授業で使っている『ケースブック労働法(第8版)』の改訂が2014年で止まってしまっているので,『最新重要判例200労働法』には,その後の判例を補充する役割もあります。いまは団体法が3割を占めていますが,この割合は徐々に減っていくかもしれません。また初版からの構成は基本的に維持していますが,どこかの段階で,構成を大きく変えてしまう必要が出てくるかもしれません。せっかちな私は,今回の版でもそういうことをやりたい誘惑に駆られたのですが,読者の方を混乱させてはいけないということで,思いとどまりました。
 新しい政策課題に関心の大半が向いている現在ですが,地道に判例の勉強をすることは,法律家として修業を始めたときの原点に回帰できるので継続してやっていかなければならないと思っています。研究会などでの判例報告は引退していますが,若手研究者の報告を聞いて一緒に議論をするとやはり勉強になります。今回の第7版でも,こうした勉強の成果がうまく出ていればと願っています。
 有斐閣の『労働判例百選』も第10版が出るようで(こちらのほうには今回は,私は執筆しておりません),うまく共存共栄(?)できればと思っています。昔は巨像に挑むアリのような気分でしたが,いまは「挑む」というような勇ましい気持ちはまったくなく,どちらの本を使ってもらっても,労働判例の理解が広がればよいと思っています。
 

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