個の台頭
12月25日の日本経済新聞の「Deep Insight」は,私のお気に入りの村山恵一氏が担当で,「あなたのスキルで動く経済」というタイトルで,クラウドワークスやサイボウズのことが紹介されていました。「個の台頭」という動きを紹介し,「個人の能力をいかに開花させ,それを生かす会社の姿をどう描くか。次の10年のテーマだ」と総括されていました。
私は,2020年の年初の日本経済新聞の企画「逆境の資本主義」で,インタビューの最後に,フリップに「○○の資本主義」と書くよう求められて,「個人が中心となる資本主義」と書きました(識者が語る「逆境の資本主義」 インタビュー一覧: 日本経済新聞 (nikkei.com)の動画の最後から2番目に登場します)。企業中心主義のアンチテーゼとしての個人中心という意味で,『会社員が消える』(2019年,文春新書)という本のなかでも類似のコンセプトで「企業中心社会から個人中心社会へ」ということを書いています(43頁以下)。この本の記念対談を,サイボウズの青野慶久社長とさせてもらったときも,青野社長がこの「個人中心」というところに強く反応されたのをよく覚えています(「上下」から「水平」に ──会社員は消え、個人が連帯して働く時代がやってくる | 特集 - 本の話 (bunshun.jp))。
岸田首相は「新しい資本主義」ということを言っています。私の言うような意味での「個人」中心の観点からの資本主義の再構成(拙著『デジタル変革後の「労働」と「法」』(2020年,日本法令)でも具体的に展開しています)は,岸田首相のテイストには合わないかもしれません。ただ,いずれにせよ,「資本主義」という言葉をあまり雑に使わずに,「逆境の資本主義」の企画で出てくる様々な考え方も参考にしながら,自分なりにしっかり資本主義の再定義をしたうえで,政策を提示していってもらいたいですね(この企画は書籍化もされており,私のインタビュー記事も掲載されています『逆境の資本主義』(2021年,日本経済新聞社))。
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