B級1組順位戦
藤井聡太四冠が,今年最後の公式戦を戦ったというようなことまで,いまではニュースになります。これまでの将棋界では考えられなかったことです。多くの国民が,将棋のことはよくわからなくても,藤井四冠の動向が気になっているということですね。人気も実力もうなぎ登りです。彼の場合は,人気に溺れるということはなく,おそらく先輩に悪いことを教わるという心配もないでしょうし,心配なのは対局過多からくる疲労でしょうが,若いからむしろ対局数が多い方が調子がよいかもしれません。それに,タイトル保持者になると,挑戦者になるまでに勝ち抜くというようなことがなくなり対局数は減るので,その点でもあまり心配はいらないでしょう。
一昨日のB級1組の順位戦では,近藤誠也七段に王将戦の挑戦者決定リーグでの対局に続いて勝利を収め,これで8勝1敗となりました。7戦全勝でトップにいた佐々木勇気七段が敗れて7勝1敗となり,また三番手だった千田翔太七段も敗れて6勝3敗となりました。佐々木七段は屋敷伸之九段に,千田七段は三浦弘行九段に敗れ,ベテランが若手の壁となるという「鬼の住処」と呼ばれるB級1組ならではの結果でした。藤井四冠は,佐々木七段よりこの時点で対局が一つ多いですが,トップとなり,昇級に大きく前進です。次の佐々木七段と千田七段との対局が重要で,ここで千田七段が勝つと,佐々木七段は順位が下なので3敗勢にも昇級の可能性が出てきます。稲葉陽八段も三浦九段も5勝3敗で,残り全勝して9勝まで行けば逆転昇級もありえますね。
降級のほうは他の棋戦で活躍している近藤七段が不調で6敗となりピンチです。6敗をしている棋士は,近藤七段よりも順位が下に松尾歩八段や阿久津主税八段しかおらず(上位の6敗勢には木村一基九段がいます),降級は3名なので熾烈であり,5敗勢も気を抜けないでしょう。