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2021年11月26日 (金)

コロナ労災はメリット制の適用除外

 今朝の各種報道で,いわゆるコロナ労災は,企業の保険料の負担を軽減するというニュースが流れていました。ややわかりにくいのですが,コロナ労災による保険給付は,保険給付の支給実績を保険料の増額につなげる仕組み(メリット制)に反映させないということです。今日の労働政策審議会(労働条件分科会労災保険部会)で議論されるということで,ネットで配布資料をみると,その趣旨が次のように説明されていました。
 「今般,新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,①事業主が十分に衛生環境の整備に努めても,新型コロナウイルス感染症の感染を完全に防ぐことは難しいこと,②医療・介護の事業はもとより,幅広い業種について政府が緊急事態宣言時の業務継続を要請していることなどを踏まえて,新型コロナウイルス感染症に関する保険給付及び特別支給金の額について,メリット収支率の算定に反映させないようにするため,所要の改正を行う」。
 これは企業のために,コロナ禍でのエッセンシャル業務に関する事業を安心して遂行してもらうことを主たる目的としたものでしょう。政府が業務継続を依頼した以上,こうした対応が必要となるのは理解できます。ただ,それ以外の業務を扱う民間の企業において,コロナ感染のリスクのある業務に従事させて感染した場合にまでメリット制に反映されないのはおかしいでしょう。メリット制の適用除外が,労働者の安全や健康を危険にさらすことにつながってはいけません。きちんとエッセンシャル業務とそうでない業務との線引きをしなければなりませんが,うまくできるでしょうか。
 変異株がみつかって日経平均も大暴落するなか,コロナは依然として油断できないものであることが再認識されました。これからも従業員に安全に仕事をしてもらうためには,テレワークの推進が重要な対応策であることは異論がないでしょう。無理に出勤させて感染させれば,企業の安全(健康)配慮義務違反として損害賠償責任が生じる可能性がありますし,業務が原因で感染すれば労災になり,メリット制により労災保険の保険料の増加につながりえます。そうしたことが,企業に対して,感染予防のためのテレワーク推進のインセンティブになるのです。メリット制の適用除外が,こうしたインセンティブを損なわないように,十分に留意してもらいたいです。もちろん私がこんなことを言うまでもなく,部会ではきちんと議論されているでしょうが。

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