« 全日本大学駅伝 | トップページ | 巴機械サービス事件 »

2021年11月 9日 (火)

経団連はテレワークに前向きに

 経団連が118日に「感染症対策と両立する社会経済活動の継続に向けて - 新型コロナウイルス感染症対策に関する新内閣への提言 -」を出しましたが,そのなかでの「これまで人流抑制や接触削減の観点から,テレワーク等による出勤者数の削減が求められてきたが,今後は,「出勤者数の削減」目標について,科学的な知見を踏まえ,見直すべきである」という一節がメディアに大きく採り上げられていますね。これは,テレワークから通常勤務に戻せというほどの強いメッセージではないようです。善意に解釈すると,自分たちで出勤者数をコントロールするから,政府は余計な介入をしてくれるなということを言いたいのかもしれません。それならまだよいのですが,会員企業には,これまで政府の意向もあり無理してテレワークをしてきたけれど,気兼ねなく社員に出勤を要請できるようにしてほしいといことであれば反対です。
 ちなみに昨日の日本経済新聞の朝刊に,FTのコラムで「出社強制は人材確保の妨げ」というタイトルの記事が出ていました。英米の話ではありますが,コロナ後の働き方に関して,在宅勤務をやめる動きへの警鐘です。日本でも,私が日曜の学会報告をしたときにもふれた時間主権や場所主権の重要性に労働者は気づき始めているのであり,とりわけ若く優秀な人材はそういう傾向を強めています(「優秀」の定義は,決して受験秀才という意味ではありません)。そういう人材に適切な労働環境を提供して,生産性を高めるようにするというのが,企業にとってこれから必要な人事戦略だと思います。経団連が発すべきなのは,コロナが終息してもデジタル化の流れは止まらないので,油断せずに事業体制をテレワーク仕様に組み替えろということです。経団連の会員企業は,昭和の時代に成功した企業が多いので,発想が昭和どっぷりではないかが心配です。新しいことに関心があるふりはしているが,やっていることは超アナログという企業も多そうです。経団連には,これからの日本経済について,しっかり将来の技術環境を見据えたヴィジョンをもった提言をしてもらう必要があります。中西前会長ならどうおっしゃったでしょうか。

 

« 全日本大学駅伝 | トップページ | 巴機械サービス事件 »

政策」カテゴリの記事