株式市場は好感
衆議院選挙で,自民党は276議席から15議席減らしたものの,絶対安定多数はキープして,ほっとしているところでしょう。立憲民主党は議席を減らし,一方,維新が躍進したということで,株式市場は,同じように分配を言いながらも,共産党とくっついた立憲民主党の勢力が弱まり,自民党の分配政策ならまだましで,一方で維新の勢力拡大のため,維新のいう改革にも耳を傾けなければならないということで,ちょうどよいくらいの結果だという受け止め方だったのではないかと思います。今日の日経平均754.39円の大幅上げは,そのためでしょう。改革なしで分配優先というのが,おそらく株式市場的には最悪の結果で,そうなると日本売りも起きていたかもしれませんが,それは回避できたというところでしょうかね。
今回の選挙では,大物議員が選挙区で負けたのも興味深いです。野田毅,小沢一郎,中村喜四郎まで敗れたのはびっくりです。要するに,もうあなたちの時代ではないでしょう,仕事をもっとしてくれる人に国会に行ってもらいたいという有権者の声ではないかと思います(二階元幹事長は強かったですが)。石原伸晃は比例復活もできずに落選となりましたが,実績がないまま多選している国会議員に厳しい判断が下されたのでしょう。自民党や立憲民主党といった政党に関係なく,有権者が個人の働きぶりをみるようになっていて,それでダメだと思う人たちは,大阪で行動力を発揮している吉村知事のイメージが強い維新に投票するか,棄権をしたというところでしょうかね。
欧州の国でもみられるように,最終的には中道左派対中道右派という構図に収束していくとは思います。極左も極右も一定の支持はあるし,ときどき風が吹いて躍進しますが,安定的ではないでしょう。日本は,立憲民主党が共産党と組んで,かなり左のほうに引きずられました。それが比例票を減らす原因となったのでしょう。共産党も共闘により埋没しないように,アイデンティティにこだわったために,支持者のウイングを広げることに成功しなかったのではないかと思います。
保守層は,リベラルな政策をとるのはよいが,財源をどうするのか,というところについて疑問をもった可能性があります。岸田政権は,分配重視といっても,それほどラディカルなことはしないだろうとみて,今回は自民党が票をとりましたが,そこに不安をもった保守層が維新に流れた可能性があります。
立憲民主党は,国民の求めているものを間違えたのかもしれません。分配だけなら,実は自民党もかなりやってきたし,岸田政権もやるといっているのです。若者が求めているのは,単なる分配ではなく,未来につながるような改革なのです。これは長期的な視点での「分配」ともいえます。コロナ対策はそれとしてやる必要はあるが,将来展望をどう描くか。そこのところで,強く訴えかけていたのが維新や国民民主党だったと思います。しかし維新や国民民主党は政権をとるほどの力はありません。立憲民主党は,うまく右側にもウイングを伸ばし,リベラル一辺倒ではなく,未来につながる政策をどこまで説得的に打ち出せるかが勝負となります。自民党も浮かれてはいられないでしょう。来年の参議院選では,落選予備軍はいっぱいいると思います。選択的夫婦別姓に反対などの,古い価値観にこだわり自由な選択を認めないような政党は,将来展望を描けない政党とみなされて,若者は離反していくことでしょう。
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