AIと藤井聡太
藤井聡太三冠は,将棋の勉強に,AIのディープ・ラーニングを活用しているそうです。AIが人間のデータから学ぶのではなく,自分で最善手を見つけ出すので,人間にはなぜそれが最善手であるかの理由は不明で,ただその手だけを学んでも自分の将棋にはならないのですが,それを自分なりに咀嚼すれば,ますます強くなることができるのです。藤井三冠は,AIとの共生というこれからの社会の課題を,まさに天才頭脳集団の世界で実践しているわけで,その成果は単に将棋界だけでなく,人類にとって大きな関心事といってもよいくらいです。
藤井三冠の竜王戦の挑戦は,NHKのクローズアップ現代でも取り上げられるくらい大きなニュースとなっています。将棋界の最高峰のタイトルである竜王を奪取できるかというと,相手の豊島将之竜王は強敵とはいえ,王位戦の挑戦を退け,叡王のタイトルを奪取したことからもわかるように,可能性は高いです。豊島竜王は,現役力士のなかで最も多く藤井三冠から勝っている棋士ですが,竜王戦の初戦の戦いぶりをみても,豊島竜王は一手のミスも許されないくらいの緊張感をもって戦うことを余儀なくされています。藤井三冠の4連勝で,最年少四冠もありうるような気がします。
王将戦の挑戦者決定リーグは,どんどん進行しています。まだ先は少し長いですが,藤井三冠は2連勝と良いスタートで,本命の一人の豊島竜王が1勝2敗と出遅れたので,藤井挑戦の可能性は高まっています(王将は渡辺明名人)。
将棋界の4強がそろったJTの将棋日本シリーズは,今日,渡辺三冠と豊島竜王が対局し,豊島竜王が勝ちました。最後は双方入玉して点数勝負という素人には面白くない展開になってしまったのですが,豊島竜王が粘って逃げ切りました。これで決勝進出となり,相手は,先ごろ王座を防衛した永瀬拓矢王座と藤井三冠の勝者となります。
注目の順位戦は,A級は今期も齋藤慎太郎八段が好調で3連勝で,連続での名人挑戦を目指します。B級1組では,藤井三冠が,稲葉陽八段に痛い敗戦を喫したものの5勝1敗と快調で,現在,順位は低いながら3番手です。昇級したばかりの佐々木勇気七段が好調に6連勝で,千田翔太七段が5勝1敗でこれを追っています。昇級は二人で,3人の誰が昇級しても初めてのA級で,世代交代の風が吹き始めている感じがします。3年後にはA級のメンバーはがらりと変わっている可能性がありますよね。