藤井聡太九段誕生
棋聖戦は,藤井聡太棋聖の3連勝での防衛となりました。渡辺明名人(三冠)にストレートで勝つというのは,なかなか予想しづらかったのですが,渡辺名人がちょっと藤井棋聖を苦手にしている感じもあるので(今日の結果で1勝8敗),ありえるかなとは思っていました。若手の代表格と思っていた渡辺三冠ですが,世代交代の波は着実に近づいているのかもしれません。名人は防衛しましたし,王将と棋王の防衛戦は冬で,しばらくタイトル戦はないので,じっくりと藤井対策を練り直すというところでしょうか。それにしても昨年,棋聖をとられて,すぐに挑戦者に勝ち上がってくるのはすごいことですが,そこで再び敗れたというのはショックが大きいかもしれませんね。
今日の対局場所は,豪雨の沼津でしたので,心配していましたが,対局には影響はなかったようです。将棋の内容は,最終盤はAIの評価値では渡辺名人の優勢でしたが,藤井玉をとらえることができず,最後はただでとられる位置に飛車を逃げるという大技を藤井棋聖が出して,みごとに渡辺玉を討ち取りました。NHKの19時のニュースの途中で速報が入りましたね。
これでタイトル3期ということになり史上最年少の九段誕生です(なお藤井九段と呼ぶことは,少なくともこれから20年くらいはないと思います。タイトルホルダーは段位では呼びませんので,藤井九段というと,藤井猛九段を呼ぶ状況が続くでしょう)。将棋は九段が最高位なので(昔はタイトルとしての十段というのがありましたが),段位としては18歳で頂点にたどりついたことになります(ちなみに師匠の杉本昌隆八段は,七段時代が長く,2年前に50歳でようやく八段になりました)。ここまでみると藤井二冠の前途は明るいようですが,現在三冠を目指して豊島将之竜王(二冠)と王位戦の防衛戦が始まり,さらに,もうすぐ始まる叡王戦では,今度は立場を変えて挑戦者として豊島叡王に挑戦します。藤井二冠は渡辺明名人には強いのですが,豊島竜王との対戦成績は逆でほとんど勝てていません。3日前に行われた王位戦の初戦も,みたことがないような完敗でした。それだけ豊島竜王が強かったのですが,王位戦は七番勝負,叡王戦は五番勝負で,この12番でどれだけ豊島竜王に藤井二冠の力が通用するかが注目です。また秋から始まる竜王戦でも二人が対戦する可能性は十分にあります。竜王戦は現在,決勝トーナメントで左の山では,昨年も旋風を引き起こした梶浦宏孝七段が今回も勝ち上がっていて,昨年,挑戦者決定戦への進出をかけて負かされた羽生善治九段と再戦となっています。梶浦七段の1年の成長を試すのには最高の相手です。その勝者は,挑戦者決定戦への進出をかけて永瀬拓矢王座と戦います。藤井二冠は右の山で初戦は山崎隆之八段との対戦が組まれています。