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2021年6月 6日 (日)

棋聖戦始まる

 今回は,藤井聡太棋聖(二冠)に渡辺明名人(三冠)が挑戦するということで,昨年と立場が逆転しました。NHKも,ニュースがあまりなかったのか,大きく採り上げていましたね。それにしても,もうあれから1年経ったのですね。すっかりタイトルホルダーとしての貫禄もついて,和服姿も違和感がありません。今回は,タイトルを取られた棋士が,翌年,勝ち上がって挑戦するということで,これはいかにその棋士が充実しているかを示しており,逆にここで返り討ちにあってタイトルを奪還できなければ,精神的にもきつくなるでしょう。とはいえ,渡辺名人は,名人を防衛したばかりで,気分よく戦いに臨んでいるでしょうし,先日,順位戦で稲葉陽八段に敗れたばかりの藤井棋聖にとっては,厳しい防衛戦となることが予想されていました。
 しかし今日の初戦は,そういう不安を吹き飛ばすような藤井二冠の快勝でしたね。飛車取りも気にせず,相手陣に攻めていくところとか,自分の角の効いているところに,あえて桂を飛んで重くしながら,駒をさばいていくとか,素人ではとても理解できないような手を指すのですが,AIの評価値は高く,結局,渡辺名人に勝負所を与えませんでした。序盤から激しい攻め合いで,どちらも研究済みという感じで,一気に終盤戦に突入していきましたが,途中からは難解な局面が続き,そのなかで,渡辺名人は最善手を指すことができなかったのに対し,藤井二冠は完璧に指しとおしたようです。それにしても,11手の濃密さが際立つ将棋でしたね。
 渡辺名人もこのままずるずるとはいかないでしょう。棋王戦(対糸谷哲郎八段)も,名人戦(対斎藤慎太郎八段)も,初戦は落としたものの,そのあと連勝で防衛しています。棋聖戦も同じようにいくでしょうか。藤井二冠は,629日からは,豊島将之竜王(二冠)相手に,王位戦の防衛戦も始まるので(王位戦は棋聖戦と違い2日制なので,疲労がたまるでしょう),このハードスケジュールが最大の敵かもしれません。 

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