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2021年4月15日 (木)

ヤゲウォ大学

 今日は,神戸大学が提携している,ポーランドのヤゲウォ大学の学生向けに,法学研究科が開講しているJapanese legal system というオムニバスの授業の「Labor Law1)」の講義をしました。例年は,教員がポーランドまで行って授業をやっていたそうですが,今年はオンラインということで,私はこういう外国語教育の戦力にはカウントされていないはずなのですが,人手が足りないということで駆り出されることになりました。授業時間は150分の長丁場で,オンデマンドでもできるのですが,ビデオを作成する準備時間がとれなかったので,オンライン・リアルタイム型でやりました。英語にはまったく自信がないのですが,なんとか時間をみつけて,せっせとパワーポイントのスライドをつくりました。判例の英訳は大学院生に手伝ってもらいながら,63枚のスライドをつくり,よれよれになりながら,授業を終えました。英語を150分も連続で話す(厳密にいえば,途中で5分ずつのブレイクを2回入れましたが)のなんて久しくやったことがありません。英語どころか,日本語の講義や講演ですら,最近では,それだけの時間連続で話したことがないので,終わったときは疲れ切っていました。でも,自宅でできるからこそ可能であったのであり,実際にポーランドまで行って時差ボケのなかで150分授業をやれと言われても,もうやる自信はありません。10年程前にイタリアのBocconi大学で,たしか5日間連続,毎日180分の講義をやったことがありました(イタリア語でやったか,日本語でやったか忘れました)。最初の3日分くらいは準備できていたのですが,イタリアに行く前に風邪を引いて熱が出てしまい,イタリアに行っても完治していなかったため,最後の2日分は準備ができず,結局,パワーポイントもなにもつかわず,ホワイトボードを使いながら乗り切った記憶があります。体力が回復したので,なんとかなったのですが,ああいうことができる力があったときのことが懐かしいです。
 今日の授業は,日本型雇用システムの説明を中心に行い,それと関連付けて日本の労働法の話をするというもので,最後は,ギグ・ワークの話など新しいトピックも盛り込んで終わりにしました。学生はビデオオフだったので,反応はよくわかりませんでしたが,終わったときに何人かから「Nice lecture, thank you, professor」と言われて,多少は苦労も報われた感じがしました。
 それにしても,行ったこともないポーランドの,アルファベットで書かれていても名前がうまく読めない学生たちを相手に,神戸の自宅のいつもの仕事机においているパソコンに向かって話しながら授業をやるというのは,とても不思議な感じですが,大学の講義はやはりムーブレスでMOOC(Massive Open Online Course)でよいということを再認識できた気がしています。
 ちなみに今日は,時間割上は,通常の学部の講義もある日でしたが,こちらはオンデマンド型で,3日前に動画収録をしていました。こういうように調整できるのも,オンライン型のよいところですね(学生も好きなときに視聴しているでしょうし)。

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