テレワークとセレンディピティ
セレンディピティ(serendipity)は,英語としては難語でしょう。受験英語には含まれていないのではないでしょうか。注が必要な言葉でしょう。「想定しない偶然の発見」というような意味ですが,「ひらめき」という意味でも使われているようです。どのような職業をしていても,良い仕事をするためには「ひらめき」がとても大切です。私の経験でも,文章を書くとき,書くことがだいたい決まっていても,切り口が平凡で,使っている表現もつまらない,何かもうちょっとオリジナルなものが欲しいといくら思っても,なかなか浮かんできません。それが何かの拍子に浮かんできたときは,その日はとてもハッピーな気分になります。こうした「ひらめき」は,日頃やっているようにパソコンに向かっているだけではダメで,外を歩いているときなど,別のことをしているときに浮かぶことが多いのです。いまではそういう機会はありませんが,新幹線で外をながめているときというのも,「ひらめき」を生み出す絶好の機会です。朝起きたとき,あるいは夢のなか(たぶんレム睡眠のとき)も,よく「ひらめき」が起こります。知的創造性が重要とされるこれからの時代,自分なりの「ひらめき」を生み出す場をどのように見つけていくかが大切なのでしょうね。そのためにも,常に「ひらめき」を求めるという姿勢でいなければならないでしょう。
「ひらめき」は他人との会話からも生まれますが,これはどちらかというと,自分が知らなかったことを「気づかされる」ということで,これはこれで大切ですが,「ひらめき」とはちょっと違う感じもします。とはいえ,他人との雑談から新たな発見があることも確かであり,それは「ひらめき」と同じくらい重要ですし,「ひらめき」につながることもあるでしょう。
テレワークになると,雑談がなくなることが問題だということも言われているのですが,たぶん雑談の仕方を変えるべきなのだと思います。オンライン雑談というのも十分にありえるのです。私もこれだけオンラインで議論をすることが増えると,オンラインでも雑談をすることがありますし,それが「気づき」の場になったりもします。とくに現在は,リアルの場で,マスク越しでソーシャルディスタンスをとって,ときどき相手のマスクがずれてきていることを気にしながら話すというよりは,よほどオンラインでやるほうがよいです。会社も,雑談のもつ効用を,いかにしてオンライン環境で実現するかを考えていくことが必要なのでしょうね。
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