数ヶ月では終わらない
大学では,オンライン授業に向けた準備が着々と進んでいます。教授会をはじめ種々の会議はオンラインとなり,またオンライン授業に向けた研修や意見交換の会議もオンラインです。メッセージアプリを使った情報交換もしています。これから初めてのオンライン授業を始めるわけで,みんな手探りです。緊張状態は高まっています。大学教員というのは,元優等生が多いので,最初から合格点をとりにいく習性がありますが,それでは失敗する可能性が高いでしょう。60点くらいをめざし,徐々に点数をあげていくくらいの心構えのほうがいいと思います。かりに教員がうまくやれても,相手の学生のほうも初めての体験かもしれませんし,またそれを支える事務職員もノウハウがない状況です。そういう厳しい状況のなかで,少しずつ教育効果が上がる方法を見つけていけばいいのです。無理をして健康を害して病院の世話になることこそ,一番避けなければなりません。
コロナショックは数ヶ月で終わるようなものではないでしょう。人々が自由に出歩けるようになるためには,ワクチンが開発される必要がありますが,それは1年以上かかりそうなのです。おそらく今年度は最後まですべてオンライン授業となるし,場合によっては来年度まで続くかもしれません。オンライン授業は一過性のものだと思っていると,取り組みへの本気度が弱まるかもしれませんが,むしろコロナが終息しても,ひょっとしたら元に戻らないかもしれないくらいの気持ちで臨む必要があると思います。新しい授業方法,さらに教育システムを構築する段階に入っているということです。当面は技術的にうまくオンライン授業をこなすことが大切ですが,その先には本質的な教育改革が待っています。
いずれにせよ大学,とくに文系科目の講義は,オンラインを中心とするものに大きくシフトしていくでしょう。留学も不要になるかもしれません。例えば日本語ができるアジアの学生が自国からオンラインで神戸大学の授業を聞き,単位をとって卒業していくようになるかもしれません。
そのことと関係しますが,いま何人かの教員は,授業をYouTubeにアップする準備を進めています。私もそうする予定です。視聴できるのは,うちの学生に限定しますが,設定を少し変えるだけで,世界中に配信可能です。私の講義はともかく,同僚の優秀な先生たちの力を入れて作った動画は,世界中に視聴させるべきなのではないか,と思わないでもありません。優秀な先生の教育というのは,貴重な公共的な資源です。それを世界中でどのように活用してもらうかを考えていくということもまたSDGsの一つでしょう。
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