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2020年1月 1日 (水)

今年の抱負ー執筆と健康管理ー

 


 


   新年おめでとうございます。


 何年か前から年賀状はやめておりますので,このブログで新年のごあいさつに変えたいと思います。あいさつといっても,自分のことをダラダラと書くだけですが。


 経団連の中西会長が日本型雇用の見直しに言及したことが話題になっています。もちろん経団連会長がどう言うかに関係なく,すでに日本型雇用システムは大きな衰退過程に入っています。


 拙著で振り返っても,私が2014120日に刊行した『君の働き方に未来はあるか?-労働法の限界と,これからの雇用社会』(光文社新書)は,正社員中心の日本型雇用システムが変わるので,正社員をめざすなということを若者に訴えかけたものでした。その約2年後の2016320日に刊行した続編の『勤勉は美徳か?―幸福に働き,生きるヒント』(光文社新書)では,企業にすがる正社員的な働き方から脱却して,時間主権を取り戻し,もっと休んで幸福の実現をめざしましょうと問いかけました。今日の働き方改革を先取りするものです。2017120日に刊行した『AI時代の働き方と法―2035年の労働法を考える』(弘文堂)では,AIやデジタライゼーションの到来による雇用社会の変容を予測し,会社員ではない働き方が増え,個人が自立していくことの重要性を説いて,労働法や雇用政策は大きく変わらなければならないと論じ,さらに2019220日に刊行した『会社員が消えるー働き方の未来図』(文春新書)では,企業中心社会から個人中心社会に移行するなか,テクノロジーの影響が押し寄せる産業社会において個人がそのテクノロジーを活用しながらどのように働くことになるか,そしてそこにどのような課題があるかを論じました。この本を読めば,AI社会において個人がどう生きていくべきかに関する論点が,一通りわかると思います。そして,今年。私が主張してきたことが,ようやく世間でも共通認識になりつつあるなか,前に弘文堂の本で書いた「2035年」の話ではなく,もう少し時間を前倒しして「2020年代」に確実に起こる日本型雇用システムの終焉をしっかり描いて,個人の働き方がどう変わり,労働法がどう変わるかを予想する本を出すつもりです。


 その一方で,労働法上の当面の課題である「非正社員」問題と,AI時代の到来における新たな格差問題とをつなぐ本といえる『非正社員改革』(中央経済社)も,昨年,刊行しました。これも日本型雇用システムの終焉について論じていますが,そこで最も言いたかったことは,非正社員問題に多くの政策的エネルギーを傾注すべきではなく,新たなデジタルデバイドを生まないようにすることにこそ,政策的エネルギーを傾注すべきだということです(結局は,適切な教育政策が重要ということ)。これは,昨年3月の日経新聞の経済教室にも書いたところです。政府は本気でこれに耳を傾けてくれるでしょうかね。小学生の英語やプログラミングの必修化程度で事足れりということではないはずなのですが,大学入試をめぐる迷走からわかるように,政府の教育政策に多くを期待するのは難しそうです。嘆かわしいことです。先のことがよくみえている両親のいる家庭で生まれた子供たちは大丈夫ですが,いま到来している大きな変化に気づいていない両親や,気づいていても何をしていいかわからずオロオロしている両親のいる家庭のためにも,早く政策を打ち出さなければならないのです。企業が人材育成をやめ,日本型雇用システムが終焉を迎えるということは,これまでの拙著のどれにも言及してきたことですが,もっと危機感をもって,正面から打ち出す必要があるのかもしれません。まずは拙著を読んで危機感を共有して欲しいのですが……。


 今年は,もう1冊,長年の懸案であった労働法の本を書くつもりです(ここ数年,毎年,言っているような気がしますが)。サバティカル中に完成させるべく取り組んでいたのですが,間に合わずにサバティカルが終わってしまいました。授業に追われるなかで,なかなか進捗していないのですが,これは絶対に今年前半には完成させます。日頃,労働法がなくなるという主張をしているなか,ほんとうになくなってしまう前に書いておきたい労働法の本があるのです。これを書き上げなければ,労働法の研究者としての私の仕事は完成しないと思っています。


 そのほか本の改訂作業も2つ進んでおり,今年もとくに前半は執筆作業に忙しくなりそうです。さらにフリーランス系の企画も考えており,これもできれば今年中に企画を走らせてみたいと考えています。それに先日のブログでも書いたように理論的論文でも書きたいテーマがあり,時間がとても足らないような気もしますが,できるだけ無駄な出張はせず(「移動せずに働く」),神戸にこもって研究と執筆の時間を捻出したいと思っています。


 そのためにも健康管理が大切です。ただ昨年はサバティカル中に,この期間しか研究は出来ないと思って頑張りすぎたせいもあり,実はかなり疲弊していました。それに10月から授業が始まり,身体のリズムが崩れ,12月半ばには体調を崩してしまいました。LSの授業も,おそらくこれまでやったことがないような病気による休講もしてしまいました。補講の日程確保が難しい学部の大講義では,身体はつらかったのですが,椅子に座りながら声を振り絞って授業をやるという回もありました。高熱が出て,インフルエンザかと思いましたが,結果は陰性でただの風邪だったのですが,熱が下がったあとも,喉は腫れていて,いったん咳が出始めると止まらず,今日の時点でも完全復調ではありません。


 そうそう昨年は,長年の好奇心をおさえきれずに,とうとう自分のDNA検査をしてしまいました。結果は秘密です(私と遺伝子を共通にする人に迷惑がかかってはいけないので)が,健康な身体に産んでくれた両親には感謝です。ただ病気となる可能性が高いものの一つに「喘息」があげられていました。たしかに家系的に気管支は弱いのですが,ただそのときは「喘息」くらいでよかったと思って軽視していました。例年,秋から冬にかけて咳き込むことはあったのですが,今年はかなり症状が重く,かつ長期化しており,ほんとうに「喘息」になっている可能性があるので,しっかり医師に診断してもらい,悪ければ治療することにします。私はずっと自分の死因は,病気の場合は呼吸器関係だと思っていたので,このあたりでじっくり治療をしておいたほうがいいですね。こういう危険因子がある以上,加齢によりどんどん顕在化しやすいでしょうし。


 そういえば昨年は高血圧で身体がふらついたことも一度ありました。その後,血圧は下がりましたが,それ以降,ずっと血圧を毎日測定しています(当初はウエアラブルの機器で24時間計っていました)。サントリーの胡麻麦茶でなんとか乗り切ろうと思っていますが,いずれにせよ周囲で血圧が高くなるようなことが起こらないことを祈っています。


 


 


 


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