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2020年1月 5日 (日)

脱出のすすめ

 若者が脱出すべき企業は,いわゆるブラック企業だけではありません。

 年末の1230日の日本経済新聞で,「働き方 霞が関の非常識(4) 「専門磨けず」見切る若手 人事評価や面談不十分」というタイトルの記事のなかで,霞ヶ関の若手官僚の退職が増えているというレポートが掲載されていました。東大生らの霞ヶ関志望が減りつつあるのは聞いたことがありますが,それだけでなくいったん入省してもすぐに辞めていく人が増えているのです。

 確か23年ほど前に,ある中央官庁の方から,ゼミ生らにその省をめざすよう声をかけてほしいという依頼がありましたが,お断りしました。その省は,とても責任をもって学生に薦めることができる役所ではなかったからです。実は昨年も,私のゼミのOBがその省を退職しました。不祥事の尻拭いばかりさせられて,自分のほんとうにやりたいことがやれないというのが主たる理由のようです。彼はずいぶん我慢をして,いつ自分の希望の部署につけるか楽しみにしていましたが,とうとう役所を見切ってしまいました。優秀で意欲的な人だったので,とても期待していたのですが,彼の決断は正しかったと思います。彼の力を発揮できる場は,役所ではないと思います。

 役所が人材育成できないとすれば,日本の将来にとっても困ったことです。ただ,最近では,役所でも外部から優秀な人材を取り入れる動きがあることが,上記の記事では書かれていました。大企業でも同じようなことが増えているようです。大企業も,自分たちだけでは人材育成できないので, 飛び出して起業して成功した元社員に,頭を下げて助けてもらうという感じです。大企業も,そういうことをしなければ,競争に勝てない時代になっているのだと思います。そして,そういう現象が広がると,いまの大企業の形も変わっていくでしょう。企業という組織は,優秀な個人がパートナーをくんで事業プロジェクトを遂行するという形になり,そこにあるのは,垂直的な階層構造(ヒエラルヒー)ではなく, 境界線がはっきりしない水平的な連合なのです。

 明日が御用始めのところも多いでしょう。いま,自分がやっている仕事は,ほんとうに必要か点検してみるといいでしょう。20代から30代前半は,これからのキャリアの基礎を身につけるためのインプットの時期です。その時期は,たしかに辛くて厳しいものですが,苦労を避けてはなりません。ただ,苦労には,意味のある苦労と意味のない苦労があるのです。意味のない苦労は,精神的な鍛錬にはなるでしょうが,それ以上のものではないのです。吸収力の高い時期に無駄なことをさせられて必要なインプットができなくなると,将来の職業キャリアに悪影響を残します。

 ペーパーレスが実現できず,書類の束があって,印鑑が重要な意味をもっていて,何でも対面型が好まれて,メールでできるような連絡でも,すぐに上司が部下を呼び出したり,オンライン会議が少なかったりするようなら,早く脱出したほうがよい要注意組織でしょうね。

 

 

 

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