« コンビニの店長の労働者性 | トップページ | 経済教室に登場 »

2019年5月 6日 (月)

メディア登場

  連休中にNewsPicksというメディアの「イノベーターズ・トーク」というところに登場しました。90分以上のインタビューを5日に分けて順番に掲載するものでした。これまで私が受けたインタビュー関係のもののなかでも,ここまでたっぷりとその内容が掲載されたのは初めてです。ただ写真が多すぎるのが恥ずかしいですね(数年前までは,写真をかなり嫌がっていたのですが,いったん解禁したら,もうどうでもよくなってしまいました)。
 この記事は有料メディアのものなので,普通の人の目につくものではないのでしょうが,逆にこういう新しいテーマに関心がある人だけにターゲットを絞っていることもあり,特に初日はかなりの反響があったようです。
 「おまえがイノベーターか?」と言われると,少なくとも自分なりにそれを目指そうとは思っています。社会をイノベートする力までないことは自覚していますが,それでも人々に訴えかけることを目指しており,執筆はそのためのささやかな挑戦です。今回「イノベーター」の仲間に入れていただいたことについて,面映ゆくはありますが,素直に感謝したいと思っています。
 ところで,今回のインタビューは,拙著の『会社員が消える』(文春新書)を読まれたライターの合楽仁美さんが,彼女の関心のあるところを質問してくださり,それに私が答えるという形で進められました。結局,私が好きなことをペラペラと喋り,しかも調子に乗って,ライターもしっかりした仕事をしなければ消えるよというような,上から目線の発言もしてしまいました。それでも,彼女は,これを素直に受け止めるところがあり,このようなしなやかさが,著者の本音を引き出しやすいなと感じていました。一方,本書の最後のほうにも書いていることなのですが,プロの仕事をしろと発破をかけるのとは異なる「頑張りすぎなくてもよいのでは」というメッセージもしっかり読み取っていて,インタビューにも採り上げてくれています。彼女は,この部分のほうに関心をもったようです。
 今回のインタビューにも出てくる「過剰な欲望」は,古くて新しいテーマだと思います。世代間の意識格差の背景に「欲望」の方向性や程度の違いがあるのでは,という感覚を最近もっており(いまごろ気づいたかと笑われそうですが),そういうことも今後は考えていきたいと思っています。
 ところで,今回のカメラマンの方は,これが最後の仕事だそうです。その後はカメラマンをやめて,普通の「会社員」として働くそうです。消えゆく会社員の仕事であっても,なんとか頑張って(でも頑張りすぎずに)幸せな人生を,とエールを送りたいですね。
 それから昨日は,中日新聞の「考える広場」に登場しました。これもネットでみることができます。こちらもまた拙著を読んで関心をもったとして,中日新聞の記者の都築修さんが取材を申し入れてこられました。テーマは「労働組合」です。現在の労働組合を直接的に論じるのではなく,労働組合のあり方というものを,もっと歴史的に,かつ大局的に論じればどうなるのだろう,ということを考えながら話しをしました。中日新聞は,普通なら私になど近寄ってきそうにない新聞なのですが,おそらく私の議論をしっかり理解してくださった都築さんだからこそ,「リスク」(?)をおかしてでも,話を聞きに来られたのでしょう。
 かなり前に朝日新聞に登場したときの澤路さんにも同じようなものを感じましたが,こういう自分でしっかり考えて行動されるジャーナリストは貴重な存在だと思います。
 今回は合楽さんにせよ,都築さんにせよ,私から良いものを引き出してくださったと思います。日頃は,ライターやジャーナリストのインタビューを受けても,結局,私が最初から書いたほうが早いことが多いと悪口を言っているのですが,たしかに書く内容にはそういう面があっても,私に何を語らせるかは,やはりインタビュアや取材者の腕や力量が関係すると思いました。
 不勉強な新聞記者がゼロから教えてくれというようなタイプの取材は受けないことにしていますが,今回のようなものであれば,自分も勉強になるので,喜んでお受けしたいと思います。

« コンビニの店長の労働者性 | トップページ | 経済教室に登場 »

私の作品」カテゴリの記事