王将戦第3局
藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑戦している王将戦の第3局は,藤井王将が勝ち3連勝となりました。素人には白熱した攻防でどちらが勝っているのか,よくわかりませんでしたが,最後は藤井王将が,永瀬九段の攻めを読み切っていたようです。藤井王将の将棋は,玉をあまり囲わずに,最低限の防御で攻めていき,相手の攻めをぎりぎりのところでかわすというスリリングなものです。これだと一手間違えれば「大怪我」する将棋となりそうですが,卓越した読みと勝負勘で他の追随を許さない感じですね。
順位戦はB級1組が6日に行われました。すでに昇級は,糸谷哲郎八段と近藤誠也八段(昇段)で決まっていますので,降級争いが注目されていました。この日はまず降級が決まっていた山崎隆之八段が,羽生善治に勝って,昇段後250勝という基準を満たして,めでたく九段昇段が決まりました。来期はB級2組ですが,最後に意地をみせました。一方,羽生九段は敗れて4勝7敗となり,最終局に勝てば残留,負ければ降級という瀬戸際に追い込まれました。対戦相手は,この日,斎藤慎太郎八段に勝った大橋貴洸七段です。大橋七段は6勝5敗,斎藤八段は5勝6敗です。斎藤八段は負けましたが羽生九段が負けて,順位が上なので残留が確定しました。降級のピンチであった三浦弘行九段は,近藤八段に勝って首の皮一枚つながりました。これで4勝7敗で,次局に羽生九段が負けて,自身が勝てば残留です。羽生九段が勝てば,自身が勝っても順位の差で降級です。また,羽生九段と三浦九段のどちらかが勝って5勝7敗となり,現在ともに5勝6敗の大石直嗣七段と高見泰地七段が対戦するので,どちらかが必ず5勝7敗となり,どちらも,羽生九段と三浦九段より順位が低いので,負けたほうが降級となります。ということで,羽生九段と三浦九段は負ければ降級,羽生九段は勝てば残留,三浦九段は勝っても羽生九段次第では降級,大石七段と高見七段は,勝てば残留で,負ければ,羽生九段と三浦九段の少なくともどちらかが勝っていれば降級となります。
B級2組は,服部慎一郎六段が勝ってB級1組に昇級を決め七段に昇段すると同時に,勝率が9割に到達しました。いよいよ歴代最高勝率という大記録の達成がみえてきました。また,青嶋未来七段が絶好調であった阿久津主税八段に大逆転で勝って昇級を決めました。昇級は3人ですが,もう一人については,大本命の伊藤匠叡王が,深浦康市九段に負けて7勝2敗で足踏みしました。最終局の相手は,6勝3敗の丸山忠久九段です。丸山九段は今期は藤井七冠(竜王・名人)に勝って銀河戦に優勝するなど,まだまだ力は侮れません。丸山九段は伊藤叡王に勝って,6勝3敗の及川拓馬七段が戸辺誠七段に負ければ昇級となります。及川七段は,丸山九段や伊藤叡王より順位が上なので,自身が勝って7勝3敗となり,伊藤叡王が敗れれば昇級となります。
C級1組はベテランの井上慶太九段に昇級のチャンスがあるのですが,前局は,すでに昇級を決めている斎藤明日斗七段に敗れて6勝3敗に後退しました。藤本渚五段は古森悠太五段に逆転勝利で8勝1敗となり,昇級に王手をかけました。最終局の阿部隆九段戦に勝てば昇級。負ければ,現在7勝2敗が2人いる(佐藤和俊七段と冨田誠也七段)ので,最終局に2人とも勝てば,順位が下の藤本五段は昇級できません。井上九段には大逆転の可能性があります。最後の一人の枠に向けて,自分よりも現在上にいるのは,7勝の2人と6勝の1人(飯島栄治七段)であり,もしこの3人全員が敗れて,井上九段が金井恒太六段に勝てば昇級となります。ありえない話ではありません。還暦超えの井上九段が昇級したらビッグニュースとなるでしょう。藤本五段の師匠は井上九段なので,師弟同時昇級ともなります。