将棋

2017年6月27日 (火)

藤井聡太四段29連勝

 報道がすごかったですね。NHKの19時のニュースでもとりあげられ(そこで永瀬拓矢六段は藤井勝ちを予想),実際21時のニュースのころは,すでに藤井四段が優勢になっていましたが,番組は藤井特集という感じで,しかも番組中に投了シーンがあったので,映像的には最高だったことでしょう。
 私は,この将棋は,夕方くらいから,スマホの将棋アプリで棋譜を追い,iPad,ノートパソコンを使って,AbemaTVとniconcoの解説をみていました。夕方くらいでは,藤井四段が不利だと思っていました。藤井四段の飛車が3六にいて,増田四段が2七角と打ち,4九の金との飛金両取りをかけていました。増田四段は飛車の入手が確実な状況で,藤井四段の玉はそれほど堅くなく,8筋の飛車が藤井陣をにらんでいるし,なんと言っても,藤井四段は2枚の角をもっても,打つところがなく,また2四に出た銀は浮いていて,おまけに1五角などの攻防手の邪魔になっているなど,どうみても藤井四段は劣勢でした。もっとも,niconico動画の解説をしていた谷川浩司九段は,必ずしもそうはみていなかったようであり,2枚の角をうまく使えれば,先手もやれると考えていたようです(Abemaのほうの若手の解説は軽くて,解説対決では,谷川九段を登板させたniconicoの勝ちでしたね)。
 ここで2一桂の頭に打った2二歩が絶妙手だったようです。その手を指す前に藤井四段は長考していました。その途中で夕食のメニューを店員らしき人が聞きにきて,しばらくしてそれが品切れで,また聞きに来るというハプニングもありました。聴衆は藤井四段の思考を邪魔するなと突っ込んだと思います。品切れは縁起が悪い,なんて思っていたのですが,勝負には関係なかったですね。
 2二歩を同金と払った増田四段ですが,そこからの藤井四段の攻撃が凄かったです。増田陣の欠点は,居玉であり,7一銀も好守に参加していないこと(ただし本局ではそれほど悪形ではないとのこと),8五の飛車が不安定な位置にあることでした。藤井四段は,このタイミングで7七桂と跳んで8五の飛車にあて,飛車が逃げたところで,今度は6五と二段跳びをしたのです。素人なら桂馬の高飛び歩の餌食ですが,これで一挙に局面が変わりました。たった2手で,景色を変えてしまったところが凄かったのです。
 ここでは前に増田陣の金を2二に追いやっていたことが効いていて,7五角が絶好手となりました。かなり攻め込んでいたと思っていた増田四段ですが,このあたりから防戦一方となります。そして1五角で攻防の金取りをかけ,増田四段は飛金交換を強要され,藤井四段は金を入手して一挙に勝勢になりました。
 とくに5三桂といった重い攻めをしながら,最後はその桂を成り捨てるなど,詰め将棋の名手ならではの華麗な手筋もみせました。最後は一発逆転を狙って放った2八角に対して,その望みを絶つ3八飛で,増田四段は戦意喪失しました(3八飛は素人が指しそうな手で,俗に友達をなくすというような辛い手でしたが,これが決め手となりました)。
  本局の桂馬の活用は,中原誠第16世永世名人のようであり,角の活用は,谷川九段(第17世永世名人)のようでもあります。そして勝負術は,羽生善治三冠(第19世永世名人)のようでもあります。
 人間がソフトに勝てないということがほぼ確実になった将棋界です(佐藤天彦名人が2連敗)が,それでも将棋をこれだけ楽しむことができるのです。いまや藤井四段の連勝は社会現象となっています。AI時代において,AIをうまく使って成長した若い天才の頭脳に,私たちは夢を託しているのかもしれません。本局でも,人間では指しそうにない桂馬の活用は,いかにもソフト好みの手だと評されていました(藤井四段が5三桂を打った局面は,プロでもみたことのないような異様な局面だったようで,Abemaの解説者は困惑していましたね。ただ谷川九段は5三桂を予想していましたが)。AIは,棋士の仕事を奪うのではなく,棋士の可能性を広げるのでしょう。ただ通常の天才では太刀打ちできなくなる厳しい時代の到来でもあります。
 竜王戦決勝トーナメントは,旬の棋士が集まります。初戦で勝った藤井四段の次の対局は,佐々木勇気五段です。若手の実力者です。佐々木五段は,NHK杯のときのように,和服の正装で対局するかもしれません。7月2日の対局は,都議会選挙よりも,兵庫県知事選よりも,藤井四段の30連勝なるかという報道で盛り上がる可能性がありますね。

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2017年6月22日 (木)

藤井聡太四段28連勝(歴代記録タイ)

 将棋ネタの頻度が高まりました。藤井四段が勝ち続けるからです。
 プロの将棋は勝てば勝つほど対局が増えます。強い人ほどたくさん対局をして,収入も増えます(あたりまえですね)。
 ですので年間最多対局という記録もあり,過去最高は,羽生善治三冠が2000年に達成した89勝です。連勝記録は対戦相手次第で勢いということもあり偶然性もないわけではありません。それでも28連勝はすごいのですが,記録保持者の神谷広志八段の場合は,狂い咲きといったら失礼ですが,人生の運をすべて使ったという感じかもしれません。神谷八段は記録男ではありますが,順位戦のA級経験もないですし,タイトルもとっていないので,トッププロ棋士ではありません(神谷八段,申し訳ありません)。
 そこで,棋士の強さを示す記録としては,年間対局というのが出てくるのです。もっとも,この記録も,ある程度強くなって,予選免除で本戦から登場するとか,いわゆるシード棋士になったりすると対局数もそれだけ減るので,ある時点での最強を示す記録ではありません。ただ,若いときに年間最多対局数の記録をとっている棋士はすべて大成しています。歴代ベスト10をみると,過去最多は,羽生三冠の2000年の89局です(この年の年間68勝も,年間勝数歴代1位です)。ついで故米長邦夫の88局(1980年),谷川浩司九段(1985年)と佐藤康光九段の86局(2006年),中原誠永世名人の82局(1982年),羽生三冠の80局(1988年),森内俊之九段の79局(1981年),森下卓九段(1991年)と羽生三冠(1992年,2004年)と谷川九段の78局(2000年)です。
 ここに中原,谷川,森内,羽生という永世名人がそろっていることがすべてを物語っています。それに米長も佐藤も名人経験者です。森下九段は無冠の帝王ですが,若い頃は羽生と何度もタイトル戦を戦った元A級棋士で,その実力は折り紙付きでした。
 ところで現在,藤井四段は,今年度だけでみても,昨日の対局の前までに17連勝ということで,どこまでこの記録に迫れるかも注目です。もちろん最多勝利(羽生の68勝),最高勝率(中原の0.8545)も狙えるでしょう。
 そこで,澤田真吾六段との対局でしたが,藤井四段の完勝でした。これで今年度18勝0敗(対局18,勝数18,勝率1.0000)です。無敗の28連勝も異次元ですが,対局数や勝数などの地味な記録も注目したいところです。
 澤田戦では,先手藤井四段の駒が前半から伸びていき,澤田陣の飛車や金が押し込まれているような感じですが,プロ的にはどうも,こういうのは指しすぎで,逆襲をくらいやすい形のようです。実際,澤田六段は逆襲して,途中で飛車・銀両取りに角をうち,銀をとって馬を作ったあたりは互角の印象もありました。そのあと,藤井四段は銀で馬を追ったのですが,澤田六段の6六馬が香取りで,しかも玉に迫るというので,呼び込みすぎかと思ったのですが,5五角と打ち返して馬を消しました。その後,澤田六段から飛車,桂,香のどれかが取れる位置に味のよい角打ちがあったのですが,藤井四段はいったん飛車を逃げた上で,6四に角をうち,これが攻防の好守で,あとは4四歩から4筋を攻めて一気に寄せてしまいました。澤田六段としては,せっかく馬を作ったのですが,それが窮屈で働かず,働かせようとして飛車にあてたために,飛車が4筋に移動し,攻撃に参加してしまいました。4七に歩を打てば飛車を止めることができたのですが,その順が回ってこない鋭い寄せでした。谷川九段の高速のきれいな寄せとはまた違う,ライフル銃のようだが,鋭利な刃物でもあるといった感じの寄せに思えました(プロはどう評価しているのでしょうかね)。負けたほうはショックが大きいのではないでしょうか。この相手には,もう勝てないと思ったでしょう。
 澤田六段とは,前の対局では激戦をしていて実力は互角という感じでしたが,たった数日のうちに藤井四段は格段に強くなっていた感じです。育ち盛りのころの力士は,「一晩寝るたびに強くなる」なんてことをいいますが,将棋の世界の藤井四段も,そういう感じですね。
 次は竜王戦の決勝トーナメントの初戦です。相手の増田康宏四段は,非公式戦の炎の七番勝負の初戦の相手で,藤井四段が勝っています。藤井四段が入るまでは現役最年少棋士だった19歳です。増田四段の竜王戦決勝トーナメント進出も,棋界では十分に大きなニュースになる快挙なのですが,藤井フィーバーでかき消されています(テレビのほとんどすべての報道番組でとりあげています)。心中おだやかではないでしょう。増田四段の雪辱はなるでしょうか。ひふみんは,藤井四段はあと5連勝はすると無責任な予言をしていましたが……。

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2017年6月19日 (月)

藤井聡太四段27連勝

 藤井四段のことは,負けるまで追い続けたいと思います。アマの藤岡隼太さんとの対局は,強さを見せつけましたね。藤岡さんは先手でしたが,勝てるチャンスはない圧勝でした。最後は藤井玉に迫ったようにみえましたが,藤井四段からの角捨ての妙手があり,見事に藤岡玉を詰ましてしまいました。プレッシャーも感じず,そして実力がどんどんついている感じです。水泳で中学生や高校生がレースごとにどんどん強くなって記録をあげていくという状況に似ています。水泳なら一気に世界記録を出すという感じでしょう。これを将棋でいえば,一気に竜王にまで上り詰めるということなのですが,どうなるでしょうか。次の28連勝目がかかる相手は,先日も激戦を繰り広げた澤田真吾六段です。予想は互角でしょう。澤田六段もこれから何度もやるべき相手に,こんな目立つところで2連敗するわけにはいかないので必死だと思います。
 その横で静かに進行している棋聖戦第2局は,先手の羽生善治三冠が,挑戦者の斉藤慎太郎七段に連勝し,防衛に王手となりました。斉藤七段の攻めと受けの呼吸がちぐはぐだったようで,最後は羽生三冠の猛攻を受けて勝負どころを作ることもできなかった感じです。これまでの若手の挑戦者は,まずは羽生三冠から先勝し追い詰めて,それでも逆転されるというパターンだったので,羽生三冠に先行されてしまうときついですね。斉藤七段は開き直って,大胆に攻めていくことができるでしょうか。

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2017年6月16日 (金)

藤井聡太四段26連勝

 藤井四段が,順位戦に登場しました。C級2組の初戦で,瀬川晶司五段と対局しました。これで藤井四段も,いわば名人への道を歩み始めました。どんなに天才でも名人に挑戦するには,C級2組からC級1組,B級2組,B級1組,A級へとの昇級する必要があります。1年に1昇級です。だから長い道のりなのです。いまとは少し名称が違いますが,そこを最短でかけあがって(最初の1期だけ停滞しただけ),名人にたどりついたのが,藤井四段と同じ中学生プロで,史上最年少名人(21歳)になったわが谷川浩司九段です。藤井四段は,年齢的にみて,現時点で谷川九段の不滅と思われる記録を破って最年少名人になる可能性のある唯一の人です。
 昨日の瀬川五段戦は,素人目には完勝ではありませんでしたが,プロの目にはそうでもなかったようです。藤井四段が負けるとすると,実は相手がプレッシャーを感じていない,次の勝負ではないでしょうか。その相手とは東大生のアマ藤岡隼太さんです。朝日杯将棋オープン戦で対戦します。この棋戦はアマチュアのトップクラスも参加できる公式戦で,藤岡さんは学生名人になったので,この棋戦に参加する資格を得ています。
 普通はアマはなかなかプロに勝てませんが,瀬川五段も,アマのときにプロを次々と破って,プロ編入試験がなされることになり,それを突破してプロになったという経緯がありました。アマでも奨励会経験者のなかには,プロと遜色ない実力がある人もいるのです。瀬川五段もそうですが,藤岡さんもそういう人です。対局が楽しみです。
 それにしても26連勝というのは,ちょっとありえない数字です。しかも,デビューして無敗というのがすごいです。こうなってくると,相手のプレッシャーが大変なことになります。今後の最大の難関は,昨日,棋王戦の挑戦者決定トーナメントで,苦手の阿久津主税八段に勝った豊島将之八段との対局でしょう。バリバリの若手A級棋士で,しかも非公式戦で1回負けている豊島八段に勝つのは簡単ではないと思います。そこまで藤井四段は勝ち続けるでしょうか。

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2017年6月10日 (土)

藤井聡太四段25連勝

 藤井聡太四段が,6月7日に3連勝し,本日2連勝して,あっというまに25連勝となりました。いよいよ28という大記録が視野に入ってきました。これは対局する相手も責任重大ですね。都成竜馬四段は21連勝目の相手であり,そして本日25連勝目の相手にもなってしまいました。都成四段としては2回も負けるのは悔しかったでしょうが,どちらの対局も完敗でしたね。とくに本日のほうは,途中で形勢は明らかに悪く,最後は無駄な抵抗をしていたようにみえたのは,ちょっと痛々しかったです。それだけ藤井四段が強かったということです。
 ただ22連勝目の坂口悟五段戦は,危なかったです。途中まで藤井四段が優勢でしたが,攻め損なって形勢が逆転し,最後は必敗となっていました。ところが138手目に坂口五段の大悪手があり,そのまま坂口五段の玉が詰んでしまいました。簡単な3手詰めです。壮絶な頓死です。素人でもわかるミスでした。残り時間がなかったからでしょうが,藤井四段には運も味方しました。この対局以外は,ほぼ完勝です。
 テレビでも,藤井四段や将棋のことをとりあげる番組が増えてきました。経済効果も生んでいるようです。多くの人が将棋に関心をもってくれればうれしいです。加藤一二三のようなテレビ向きの強烈なキャラクターの人もいますしね。それに,AIブームにも乗っています。もはやAIとプロは対決するのではなく,プロもAIをどうとりこみながら,私たちに将棋を楽しませてくれるかという次元に変わりつつあると思います。
 それでも人間同士の対局はやはり面白いです。名人戦が終わり(佐藤天彦名人の4勝2敗での防衛),A級順位戦が始まりました。久保利明王将と三浦弘行九段という因縁の対局ですが(三浦事件のきっかけとなったのが三浦・久保戦でした),久保王将が勝ちました。こういう対局って久保王将にはやりにくいのではないかと思うのですが,実際に対局が始まると関係ないようですね。 そのほか,佐藤康光九段と渡辺明竜王は渡辺勝ち,羽生善治三冠と広瀬章人八段は羽生勝ちでした。大本命の渡辺竜王と羽生三冠が好発進です。

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2017年6月 4日 (日)

藤井聡太四段20連勝

 将棋の棋士は3回に2回勝つと大変な優秀な成績と言われます。5回で3回勝つだけでも,それをコンスタントに続ければ一流棋士です。天才集団のなかでの戦いなので,6割勝つというだけですごいことなのです。そんななか14歳の藤井四段は20連勝です。デビュー以来という条件をつけると,すでに歴史を大きく塗り替えています。神谷広志八段の前人未踏の28連勝まではまだ遠いですが。
 20連勝をかけた相手は,澤田真吾六段。関西の若手の成長株です。棋王戦の予選をここまで勝ち上がってきて好調です。ちなみに今年度だけをみても,藤井四段は9連勝ですが,澤田六段も7連勝です。藤井四段にとって大きな試練でした。澤田六段が先手でしたが,千日手になり,先後が入れ替わりました(将棋は,通常,先手のほうが有利です)。先手になった藤井四段ですが,途中で詰めろ(放っておけば詰みの状況)をかけられて,ほぼ敗戦に近い場面になりました。しかし,王手をかけ続け,コンピュータからみると悪手であった7六桂という手の対応を澤田六段が間違えて詰めろが消えたところで逆転し,最後は藤井四段がきちんと寄せきりました。終盤の腕力で相手に悪手を指させて逆転するということがあるのが,人間の将棋の面白いところですが,なかなかそれで勝てる棋士はいないのです。これで棋王戦の本戦トーナメントに進出です。予選から勝ち上がった8名とシード棋士で,渡辺明棋王(竜王)への挑戦に向けて戦います。
 この間に,羽生善治3冠と挑戦者の斉藤慎太郎七段との棋聖戦も始まりました。初戦は最新形ではなく,古典的な矢倉戦になりましたが,斉藤七段が,飛車取りに歩を打たれたところで,角切りからの必死の猛攻を仕掛けましたが,かろうじて羽生棋聖の玉がつかまらず,無念の投了となりました。羽生棋聖が初戦をとると,そのまま行ってしまいそうな予感がしますが,斉藤七段は巻き返すことができるでしょうか。
 女流のほうでは,里見香奈5冠が,伊藤沙恵女流二段と,女流王位戦を戦っています。その第3局は里見女流王位が勝って2勝1敗です。相変わらず,攻めっ気の強い面白い将棋で快勝でした。
 このほかタイトル戦は名人戦が進行中です。どの棋戦も王者の防衛という流れになっていますが,挑戦者の奮起を期待したいところです。

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2017年5月19日 (金)

藤井聡太四段18連勝

 ついに表題は名人戦よりも藤井四段のほうを選択することとしました。
 まずは名人戦から。第4局が終わり,後手の佐藤天彦名人が,稲葉陽八段に勝ちました。これで2勝2敗のタイです(後手番の4連勝)。素人には難しすぎる戦型の将棋でした。稲葉八段の穴熊,佐藤名人の右玉となりましたが,稲葉八段の遠見の角が結局不発だったようです。名人は玉飛接近の悪形で素人がやると叱られますが,名人に定跡なしです。佐藤名人は20日にソフトのチャンピオンのPonanzaと第2局がありますが,盛り上がりは今一つですね。ここで負けると,名人がAIに完敗となって,本来は「事件」なのですが,名人が勝つと予想している人はほとんどいないのではないでしょうか。
 いまの話題はやはり藤井四段です。若手が出場する加古川青流戦(トーナメント)で,竹内雄悟四段との初戦がありました。先手の竹内四段が振り飛車,後手の藤井四段の居飛車でした。3四角を突かない最新先方のようです。途中では竹内四段に勝ち筋が何度かあったようですが,最後は藤井四段が勝ちきりました。すでに藤井四段は相手に信用されているので,相手が自分で転んでくれるというところもあるようです。
 勝負の世界は信用が大切で,相手になめられると,相手が最善手を指しやすくなります。藤井四段はまだデビューして18戦です(公式戦)が,1度も負けていないということで,すでに対戦相手は藤井四段の指す手を信用して怖がるという現象が起きているのではないかと思います。
 次の近藤誠也五段は強敵です。藤井四段の真価が問われるところでしょう。

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2017年5月14日 (日)

藤井聡太四段NHK杯登場

 藤井聡太四段の17連勝は,王将戦第1次予選の西川和宏六段との戦いによるものでした。西川六段には申し訳ないのですが,手合い違いという感じで,藤井四段の圧勝でした。このクラスの棋士では止められないでしょう。次は18日で加古川青流戦の竹内雄吾四段戦です。おそらく山場は,竜王戦6組のランキング戦の決勝の近藤誠也五段との対戦あたりでしょうか。近藤五段は,先日のNHK杯でも,加藤桃子女王に快勝でしたし,この前の王将戦もリーグ入りして,結果は2勝4敗でしたが,豊島将之七段や羽生善治三冠に勝つなどの実力者です。おそらく公式戦でこれまで当たった棋士のなかでは,今日の千田翔太六段に次ぐ人でしょう。
 その豊島七段は,非公式戦でしたが,先日,藤井四段に勝ったのですが,それがテレビのニュースに流れるくらいですから,藤井ブームはすごいです。
 それで今日のNHK杯戦です。異例のことなのですが,藤井四段の勝利はすでに報道されていました。でもどのように勝つかに多くの人は関心をもったはずです。視聴率はすごかったのではないでしょうか。
 内容は先手の千田六段が攻めていくなか,藤井四段が自陣の底に4一角と打ち,また飛車も1四に押しこまれて素人目には窮屈な感じで,先手優勢のようでしたが,途中で千田六段が,7六歩の銀取りを放置して,攻め合いにいったのが暴発気味で,最後は少し早めと思いましたが,千田六段が潔く投了しました。
 千田六段は昨年のNHK杯にベスト8に進出していますし,先日の棋王戦でも渡辺明棋王に挑戦して,あと1勝まで追い込んだ若手最強豪の一人です。コンピュータ将棋にも精通している新感覚棋士ですが,それでも藤井四段に勝てませんでした。感想戦でも,千田六段が,藤井四段をリスペクトしている感じがよく伝わってきました。千田六段は悔しかったでしょうが,それを超えるほどに藤井四段の強さを感じたのでしょう。
 千田六段は,どうみても好形にみえない1四飛について,彼のデータには入っていなかったことを正直に語っていました。
 実は,ここがAIの限界も示唆しています。これまでのデータにない局面が登場したとき,コンピュータは弱点をみせます。千田六段にとっては,時間さえあればなんとかなったのかもしれませんが,時間の制限のないなかで,過去にない局面が出てくると,いくらコンピュータ仕込みの精密な頭脳をもっていても,判断が狂うことがあるということです。そして,逆にここに藤井四段のスケールの大きさを感じます。
 いつか負けるときも来るでしょうが,かつての年間最高勝率である中原誠16世永世名人の50年前の記録(47勝8敗で0.8545)が破られることは,ほぼ確実ではないかという気もしてきました。

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2017年5月 5日 (金)

名人戦第3局

  藤井聡太四段の快進撃はどこまで続くでしょうか。新人王戦でアマチュアの横山さんに勝ち16連勝です。アマチュア相手でも公式戦です(初戦は大橋貴洸四段に勝利)。このほかに藤井四段が参加しているのが,NHK杯(すでに初戦で千田翔太六段に勝ったことは報道されていて,来週にオンエア)です(予選では,浦野真彦七段,北浜健介八段,竹内雄吾四段に買っての本戦入りでした)。また棋王戦は予選通過まで,あと1勝で,次は関西の若手の澤田真吾六段です(ここまで豊川孝弘七段,大橋四段,平藤真吾七段に勝っています)。王将戦は1次予選が進行中で,ここまで有森浩三七段,小林裕士名七段に勝っています。次の西川和宏六段との対戦で17連勝がかかります。竜王戦も6組のランキング戦で,加藤一二三九段,浦野七段,所司和晴七段,星野良生四段,金井恒太六段に連勝し,次は近藤誠也五段と6組の優勝をかけて対戦します。すでに昇級は決定していて,6組で優勝すると本戦出場となります。
 非公式戦の炎の七番勝負では羽生善治三冠に勝ったりと話題になっていますが,公式戦ではほんとうの強豪とはまだ当たっていません。おそらく一番早くあたりそうなのは竜王戦の本戦か,NHK杯でしょうかね。
  藤井聡太ブームで影がうすい感じですが,地味に名人戦も進行中です。第3局は5月1日と2日に行われ,挑戦者の稲葉陽八段が勝ち2勝1敗となりました。稲葉八段は後手番でしたが,この名人戦はすべて後手番が勝つという展開です。将棋は先手の佐藤天彦名人が,早い段階で交換した角を5六に打ち,角が激しく動く戦いとなりました。稲葉八段の玉は中段に引っ張り出されて不安定な状況のようにみえましたが,最後はきれいに先手の龍を抜いて交換することができ,稲葉八段が勝ちを決めました。ソフトによると途中で名人のほうが優勢だったようですが,名人が飛車を見捨てて攻めたあたりから,稲葉八段に形勢が逆転し,最後は大差になりました。激しい戦いで見応えがありました。

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2017年4月27日 (木)

藤井ブーム到来か

 藤井聡太四段の炎の七番勝負の最終局,羽生善治三冠戦は,先手の藤井四段の圧勝でした(収録はすでに2月になされていたようです)。途中で,角桂と金の交換という駒損をするのですが,持ち駒の金を中段に打って攻め,銀も相手の2枚の角を狙って攻め上がり,最後は銀3枚と角で羽生玉を追いつめました。羽生三冠は最後は藤井玉を追い込みましたが,藤井四段は余裕でかわした感じです。ソフトの評価値も,1回も藤井四段の優勢は動きませんでした。力強さを感じる将棋で,これは大変なことになりました。名人になるには順位戦を上がっていかなければならないので5年かかりますが,最高賞金の棋戦の竜王戦は初年度からいきなり竜王になるチャンスがあるので,藤井竜王が誕生するかもしれません。藤井竜王といえば,藤井システムで竜王を奪取した藤井猛九段が有名ですが,もう一人の藤井の登場です。マスコミもこの話題を逃していません。ワイドショーでも扱われています。フィーバー到来という感じです。
 藤井四段の目下の敵は,すでに佐藤天彦名人と渡辺明竜王となっているのかもしれません。羽生三冠も佐藤康光九段もやっつけたいま,その次の世代のトップ棋士が照準でしょう。ここにあっさり勝つと,世代交代が一気に進むことになります。
 そんななか昨日の棋王戦の予選では平藤真吾七段との対戦がありました。平藤七段も相当頑張って,藤井四段は一見危なさそうでもあったのですが,しっかり読み切って勝ちました。これで14連勝です。これからは相手もいっそう必死になるでしょうが,藤井四段の力は頭一つ抜けている感じですね。
 一昨日は,棋聖戦の挑戦者決定戦もありました。糸谷哲郎八段と斎藤慎太郎七段の関西若手どうしの対戦があり,終盤はこじれましたが,1分将棋のなか,いったん逆転されたのを再逆転して勝ちました。これで斎藤七段はタイトル戦初登場です。昨年も永瀬拓矢六段が初挑戦して,羽生棋聖にあと1勝まで追い込んでいます。ただ,この最後の1勝が若手にはなかなか難しいのです(佐藤天彦名人もそれでいったんは敗れたあと,名人の奪取につながっています)。藤井四段の炎の七番勝負では負けてしまった斎藤七段ですが,タイトル戦での活躍を期待しましょう。
 藤井フィーバーで,昨年の三浦事件のネガティブな印象を払拭できそうです。棋界のホープを大事に育てていってもらいたいです。

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