日記・コラム・つぶやき

2017年8月16日 (水)

WEB会議時代の名刺交換

 大学は14日~16日まで夏季の特別休暇というものがあり,11日から6連休となっています。もちろん年次有給休暇をくっつければ,もっと休むこともできます。私はもう少し後で休暇をとるので,まだ年次有給休暇は使っていません。長期連続休暇などのときに困るのは,郵便物と電話です。郵便物は大学宛に来るものがほとんどですし,電話も留守番に残っていることがときどきあります。私はメールアドレスを公開していますし,何かあれば紙媒体や電話ではなくメールでお願いしますと言っていますが,なかなか言うことを聞いてくれない人がいます。
 郵便など紙でもらったものは,大事そうなものはスキャンし,それ以外はほとんどすぐに捨てるようにしています。電話で用件を伝えてくる人も,最近ではめっきり減りました。
 携帯電話もほとんど使うことがありません。通信費用は激減しました。iPhoneは,もはや電話として使うことはほとんどなく(家族間のLine電話は使いますが),メール,アプリ(日経新聞,日本将棋連盟,Yahooニュース,Yahoo天気,Dysonのセンサーによる部屋の空気汚染度チェックなどが使用頻度大),Google検索,Kindleでの読書,Apple payなどが主たる活用用途です。原稿を書くのはパソコンを使いますが,メモや草稿はiPhoneのメモに音声入力して記録しておきます。かなりアナログ人間だった私も,この半年くらいで生活が激変しました。
 ところで名刺についても,最近ある方に教えてもらったCamCardのアプリを入れています。名刺交換は面倒ですが,断るわけにはいかないので,いただいたものはすぐにスマホの画像に取り込んでデータ化し,紙のものは捨てます(変わったデザインの名刺は,スキャンできちんと読み取れないので困ります。名刺はシンプルなものにかぎります)。こちらが名刺を切らしていたときは,「あとで名刺をメールでお送りします」と断り,スマホでスキャンしたあと,いただいた名刺にあったメール宛てに,私の電子名刺(自分で画像に取り込んでいる)を送ります(これなら切らすことがありません)。これがどれくらい失礼なことかわかりませんが,個人的には,手で名刺を渡すのと,メールで名刺を送るのと同じなので,とくに何も文書をつけずにそのまま送っています。
 ところでWEB会議となると,名刺交換ができないので,どうしてもそれをしたい人は電子名刺のやりとりとなるでしょう。しかし,これはなんとなく馬鹿馬鹿しい気もするのです。それは電子名刺だからではなく,名刺交換そのものが,実はかなり馬鹿馬鹿しいことなのではないでしょうかね。挨拶や自己紹介は必要でしょうが,それが名刺交換である必要はないのではないでしょうか。

|

2017年8月13日 (日)

何をシェアしようか

 私は5年程前から美容院で髪はカットしてもらっています。たぶん美容院でカットだけというのはいけないという規制があったころからです。実効性がなかった規制ですが,さすがに今はその規制はないはずですよね。美容師さんに確認するのも馬鹿馬鹿しいので,確認していませんが。
 もちろん私の髪など,どうせ少ないですし,別にきれいにセットしているわけではないので,どうでもいいようなものですが,切ってから2週間か3週間くらい経ったときの伸び方というか,寝癖のつき方というか,そういうところで微妙に気になることがあって,いまの美容師さんのカットはそこがちょうどいいのです。私の髪の質をよくわかって,伸びてきたときにうまくおさまるように切ってくれているのです。プロの技です。いままで理容師にせよ,美容師にせよ,いろんな人にカットしてもらってきましたが,いまの美容師さんが最高です。こうなると,その人が店を移籍しても,客はついていきますよね。ということで,いまはカットは,お気に入りの美容師さんのところで,そして頭皮エステは,その美容師さんが前にいた美容院のサービスなので,そこに行っています(頭皮エステは,残された髪を維持するのに,とても大切です。カットより,こっちのほうがほんとうは重要かも)。美容院の難点は,ひげを剃ってもらえないことと,女性が多いことです。
 話は変わりますが,今朝の日経新聞の社説「人の力をいかす日本へ(1)働き手は工夫でもっと増やせる」についてです。いろんなことがゴチャゴチャに書かれていたような気もしますが,やっぱり高齢者向けサービスが重要でしょう。それに出前サービスの時代でしょう。高齢の父をみていると,ヘルパーさんと看護師はもちろん,医師,マッサージも「出前」です(病院での検査は別ですが)。食事も朝食は「出前」です(朝は体調が悪いことが多いので)。散髪は幸いマンション内に理容室があるのでそこで用が済みますが,一戸建てなどに住んでいる場合には,理容や美容も「出前」のニーズは高いと思います。
 記事にあるUberEats(おそらく)は,登録した配達員が料理を運ぶということですが,シェアリングということでいえば,料理人そのものをシェアできないかと考えます。
  働き方改革で,テレワークとして自宅から移動しないで働ける時代が来つつあります。商品は,宅配クライシスはあったものの,基本的にはネットで注文して自宅で受け取ることができます。さらにサービスも,いろんなものが,自宅から移動しないで提供されるようになっていくでしょう。
 労働者が仕事のために移動(通勤)し,サービス提供者は店舗を構えるというのが逆転して,労働者は自宅にいて,サービス提供者が移動するというイメージです。
 料理人に自宅に来てもらうなんて最大の贅沢のようですが,将来はネットに料理人の登録があり,手軽に今日はイタリアンの料理人を呼んで,このワインにあわせて,自宅のこの食材で,夕食を作ってもらおうというようなサービスを安価で注文できるときがくるかもしれません(料理人を移送するのはUberかもしれません)。食材にこだわってゴージャスなレストランで食べるという場も必要でしょうが,デリバリーとなると,料理人のほうも店舗をもつ必要はなく,そうなると起業のリスクが減り,本人の技能ひとつで稼げる可能性があることににあります。そうなると参入者は増えて,値段も下がっていくのです。主婦があいている時間を使って,近所の超高齢者のところで料理を作るなんてことも,いまは無償でやっていることが多いでしょうが,ビジネスにすることもできるはずです。そうしたほうが,もっと広がります。それも技能のシェアでしょう。まさにUber○というビジネスモデルです。その潜在的なニーズは高いでしょう。問題は,こういうことが自由にできるかです。規制はいろいろあるでしょうから。美容院での男性カットができないような意味のない規制がどこまであるかのチェックが必要ですね。
  

|

2017年8月 8日 (火)

ちょい乗り経験

 先日,東京に行ったとき,丸の内線の本郷三丁目から,東大正門前までタクシーに乗りました。初乗り410円で済みました。距離はたいしたことはなく,歩いて10分で行けますが,昼間だったので汗だくになるのがわかっていました。荷物もあったので,バスに乗ろうかと思ったのですが,一度410円タクシーに乗ってみようと思いました。軽く乗れる感がよかったです。Apple pay を使えたので,支払いも楽でした。これだと超近距離でも,みんな軽い気持ちで乗るのではないでしょうか。
 7月31日の日本経済新聞の電子版には,次のような記事が出ていました。
 「日本交通(東京・千代田)など東京都のタクシー大手4社は都内の一部について初乗り運賃を1月30日に改定した効果で,半年間の営業収入の合計が前年同期に比べ6.8%増えた。日本経済新聞社が31日まとめた利用実績で明らかになった。初乗り運賃が下がったことを実感しやすい2キロメートルまでの利用回数は2割増の740万回。短距離の「ちょい乗り」需要がタクシー利用回数を増やし,全体の増収につながった。」
 これですよね。「ちょい乗り」需要は,ものすごくあるはずです。高齢者になってからの医者通いも「ちょい乗り」の距離のところも少なくないでしょう。神戸圏ではまだ「ちょい乗り」タクシーはないと思いますので,ぜひ導入してほしいですね。
 それと,まだクレジットカードが使えないタクシーが多いのも問題です。現金なしで乗れるようにしてほしいです。クレジットカード対応可は必須ですし,できればApple pay 対応(IDかSuica)でお願いできればと思います。どうせ何年か経てば,現金のやりとりはなくなるので,早めに対応したほうがいいですよ。

|

2017年8月 6日 (日)

神戸の花火大会

 今年も神戸の花火大会に行ってきました。ホテルのレストランを予約して,見やすい位置から快適に見物できました(臨場感は犠牲になりますが)。今年は神戸港開港150年ということで,花火の数も多かったそうで,十分に堪能できました。
 大勢の人が来ていました。若者の浴衣姿も目に付きました。日本の文化がしっかり継承されているようで,とても頼もしく思いました。あれだけの人数がいれば,混乱も起こりそうなものですが,このあたりが日本人の行儀良さですね。
  この日は大阪でも花火大会があったようです。夏は,あちらこちらで花火大会が開催されています。マラソン大会も同様ですが,こういうイベントは大きな経済効果があるのかもしれません。と思いながら,ルミナリエのときにも書きましたが,どれだけ地元にお金が落ちているのか,疑問でもあります。儲かっているのは阪急やJRだけ,ってことはないでしょうか。
 阪急三宮駅では,必要も感じられないのに,スピーカーをつかった大音量で,こちらに聞き取れないような指示をむやみにしている駅員が何人かいて,うっとうしかったです。明石の花火大会での事故が教訓となっているのかもしれませんし,警察の要請もあるのかもしれませんが,状況をみて必要であれば指示をするというくらいでいいはずです。通行整理の必要性はわかりますが,もう少しスマートにやってもらいたいものです。
 そういえば,先日の人身事故のとき,阪急電車が遅れていたのですが,六甲駅では駅員が何も言ってくれず,結局,三宮駅に着いたときのアナウンスで事故を知りました。前にもそういうことがあったのですが,駅員の仕事は,こういう遅延のときに客に迅速に情報を伝えることにあると思うのです。六甲では,電車が遅れたときに三宮に行く手段は,JR,阪神,バスなどいくつもあります。だから改札のところで情報をほしいのです。これって当然のサービスですよね。他のところに逃げないように,事故情報を伝えてないのではないかと勘ぐりたくもなります。
 過剰なサービスを求める客であってはいけないと思いながら,まずはきちんとした仕事をしてもらうよう要求することはしてよいと思っています(電車代は安くありません)。
 最後は阪急電鉄への苦情となりましたが……。
 花火大会は費用面で継続が厳しいところもあると聞きます。レストランの人に来年も花火大会用のメニューをやってね,と声をかけると,花火大会が開かれればですけど,と言っていました。神戸がダメなら,芦屋もあるし,加古川もあるのですが,まあ神戸は大丈夫でしょう。

|

2017年8月 1日 (火)

労働政策審議会労働政策基本部会に望むこと

 労働政策審議会労働政策基本部会というものができて,その第1回の会議が昨日東京であったようです。私も会議がされていた時間,偶然ですが,別の用務で,かなり近いところにいたことになりますね。
 事前にこういう基本部会が立ち上がるというメールを厚労省からいただいていましたが,誰が委員になるのかは知らされていませんでした。ドタバタで選ばれたのでしょうか。
 この部会は,私も参加した「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」の報告書のなかの次の部分を受けて設置されたものです。
 「働き方やそれに伴う課題が多様化する中,旧来の労使の枠組に当てはまらないような課題や就業構造に関する課題などの基本的課題については、必ずしも公労使同数の三者構成にとらわれない体制で議論を行った方がよいと考えられる。これを踏まえ,基本的な課題については新たな部会(「労働政策基本部会(仮称)」(以下「基本部会」という。))を本審の下に設置し議論することとする。基本部会は,公労使同数の三者構成ではなく有識者委員により構成するものとし,課題に応じて高い識見を有する者を選任する。この中には,企業や労働者の実情を熟知した者も含めるものとする。委員は有識者として個人の識見に基づき自由闊達な議論を行うものとし,また,そのような者を選任する。基本部会においては,委員からの課題の提起を受けて議論を始めることもあり得る。」
 この部会にどのようなことを期待するかは,人それぞれでしょう。私個人は,公労使がダメというよりも,労使は組織から離れて発言できなければならない,ということを強調していました。重要なのは個人の識見です。
 いずれにせよ,基本部会の委員は,就任にあたって,どのような考え方で部会に臨むかということを表明してもらいたいです。HPでみたかぎりでは,1年かけて「技術革新とこれからの働き方に適応した基本的な政策の方針について」というテーマで検討して報告書をまとめるということのようです。こうしたテーマについて,各委員がどのような意見をもっているかを,国民に知らせるべきではないかと思います。それが個人の識見に基づき自由闊達な議論を行うことを期待されている部会の委員の責務だと思います。こういうことからやっていかなければ,ほんとうの意味での労働政策プロセスの改革はできないのです。
 たんに新たな部会が出来て,ちょっと新しそうなテーマで,数回集まって,事務局主導で報告書がまとめられるというようなことは,もちろんあるはずがないですし,絶対にあってはなりません。
  個人的には,基本部会で取り上げられる予定のテーマは,昨日,私が東大で話した内容と同じようなことであり,すでに拙著『AI時代の働き方と法』(弘文堂)でも書いているような関心の高いテーマですから,1年後の報告書がどんなものになるかほんとうに楽しみです。

 

|

2017年7月25日 (火)

テレビは怖い

 国会の閉会中審査では,加計問題と稲田大臣の日報問題に多くの時間が費やされていました。こんなことに政治家がエネルギーを使っているというのは馬鹿馬鹿しいのですが,悪いのは政権側ですから,ほんとうに困ったものです。テレビでは,野党の追及に安倍首相が明らかに苦しんでいるし,嘘をついているのだろうなという印象を多くの国民が受けたことでしょう。記憶を問われているようなことでも,想定問答集のようなものを棒読みして,事実を作っている,あるいはうまく説明しようと細工しているというのが,映像を通じて伝わってきます。こんなことをやっていると,安倍首相の支持率は悲惨なことになりかねません。
 もう真実が何かは関係ありません。国民にとっての真実は,首相の側近が忖度して加計学園の獣医学部の新設を国家戦略特区という枠組みのなかで超特急で進めようとしたことなのです。いくらそうでないと主張しても,よほどの決定的な証拠でも出てこないかぎり,真実はどうであれ,もう通じないでしょう。
 少なくとも長年の友達が経営している大学に有利な動きがあったことは確かなので,そこだけでも認めて謝罪をすれば,支持率は少しは回復するでしょう。日本人は,心から謝罪をしているとわかれば,追い詰めない国民です。必ず,「ああ言っているんだから,許してやろうじゃないか」という声が出てきます。そうせずに,あくまで無理に取り繕うとすると,国民の反感はますます高まるでしょう。稲田大臣への過剰な擁護も,見苦しいです。
 それにしてもある官僚の「記録がないので,記憶で言わざるを得ないが,記憶もないのだから,それは真実ではない」というのは,すごい論法です。こんな論法が通用するなら,世の中はむちゃくちゃになります。詭弁とはこういうことをいうのでしょう。良心も矜恃も感じられないです。
 もちろん私も文書管理能力がないので,大事な書類をなくしたりしますし,物事もすぐに忘れて記憶がないということがしょっちゅうなので(たとえば,講義で途中で脱線した話をしているとき,前に同じ話をしたような気もするのですが,記録も記憶もないので,学生相手に何度も同じことを話している可能性があります),他人のことは言えないのですが,でもあまりに堂々と公式の場で記録も記憶もないと言われると,ちょうどどうかなと思ってしまいますね。いまの高級官僚は,そんな雑な仕事の仕方をして,おバカな頭脳なのでしょうかね。そうではないですよね。おそらく記録も記憶もあるのです。でも良心が痛まないのは,それが首相のため,国のためという,間違った正義感があるからではないでしょうか。間違った正義でも,正義に殉じているかぎり,自分は国士であり,良心は痛まないのでしょう。
 「言った,言わない」は決着がつかないから意味がないというのは,自民党弁護の発言でしょう。テレビ画面で発言する人の表情,話し方などをみるだけで,いろんなことがわかってきます。テレビは怖いですね。

|

2017年7月21日 (金)

早くも夏バテか

 さすがに疲れが出てきました。この2週間は,かなり働きました。今日は体調が最悪で,学生なら体調不良で欠席というところでしょうが,昭和のおじさんはちょっとのことでは体調不良といった「めめしい」(差別用語ではないですよね)ことは言いません。とはいえ,昼食はとれず,お菓子を2個食べただけでしたので,ふらふらしながら,教壇に立ちました。講義もあまり調子が出ませんでした(とくに初めは声が枯れていて学生は聞き苦しかったでしょう)。まあ,なんとかこなしましたが,そのうちガスター10が効いてきたらしく,徐々に復調し,その後のSkypeでの会議では,ほぼ普通の調子に戻っていました。
 それでも胃の不調が完治したわけではなかったので,休肝日としました。久しぶりに鍼にでも行きたいのですが,明日はオペラがあるので,時間をみつけるのが難しいですね(腰痛は,テンピュールのクッションのおかげで,かなり良くなっているので,鍼のお世話にはしばらくなっていません)。
 今回は,暑さ,暴飲暴食,疲れ,寝不足といった複合要因によるものですね。私は夏バテをしたことがかつてはほとんどなく,結構,強い胃腸をもっていると思っていたのですが,最近は,胃薬を飲まなければならないことが増えています。若いときと同じような調子でやっていてはいけませんね。

|

2017年7月20日 (木)

銀行の生産性

 14日の日経新聞の経済教室(井上知義・高口鉄平「企業のAI・IoT活用 非製造業 ゼロから構築を既存事業からの脱却急げ」)のなかで,非製造業のIoT投資が遅れているという話がとりあげられていて,そこで「銀行を例にとると,旧来の店舗窓口やATMを維持しながら,オンライン取引の普及に取り組んでいるため,投資増が必ずしも労働生産性の向上に結びついていないと考えられる。過渡期としてやむをえない面は当然あるが,いずれキャッシュレス社会を前提に,店舗のみならずATMも廃止する方向に踏み込まないと,こうした構図を変えることはできない」と書かれていました。
 裁量労働制のおかげで,私は,昼間に銀行に行くことも可能です。ほとんどオンラインサービスでまかなえますが,住民税の振込だけは,銀行(かコンビニ)でやっています。口座振替にすればいいのですが,20年くらい前にちょっとした引き落としトラブルがあり,そのときに取り戻すのがたいへんだったことがあったので,それ以来,自動引き落としにはしていません。駅前の某有名銀行の某支店を利用することが多いのですが,そこにはいつも何人かの客が待っています。多いのは,高齢者と主婦と学生です。それに加えて,事前対応する行員が2人くらいいて,警備員もいます。かなり狭いスペースに人がごちゃごちゃいる感じです。ATMで取引できないような人がいるのでしょうかね。ATMさえ利用しない人に,オンラインはもっとハードルが高いでしょう。だから銀行のほうは,窓口は必要だし,ATMも当然必要だと考えているのでしょう。しかし,もう一歩先をみておく必要もあります。高齢者は年齢を重ねるといつか歩行が困難となります。そういう歩行困難な高齢者が大きく増えたときにそなえて,オンライン対策の必要性は高いはずです。それにより銀行業務も効率化し,省力化することでしょう。
 先日,その銀行で,人生ではじめて資産運用の相談をしてみました。資産といっても,夏季賞与の運用をどうすればいいかといった程度のものです。銀行が普通に相手にする客と運用額の桁が2から3つくらい違うでしょうから,銀行も困ったのかもしれません。予約をしていましたが,対応してきた人は若い女性でした。若手をつけてきたところで,重要な客ではないとみられたのだろうなと思いました。まあ預金額はむこうは知っていたでしょうから,当然のことです。案の定,私の質問には,タブレットをみせて説明してくれるのですが,それは私が自宅でもみることができる画面でした。知識面でも,私がもっていたもの以上のものはありませんでした。会話することに意味があるという感じで,そこからこちらのニーズを探って提案するということのようでしたが,たいした提案はありませんでした。結局は,その銀行のキャンペーンをしていた外貨預金を強く推奨されただけでした。時間の無駄でした。おまけに,いろんな資料のパンフレットやコピーをどっさりもらいました。オンライン派の私には不要です。何かチグハグでした。
 でも経験してよかったです。銀行での人間の業務は減るという仮説は正しいと実感できたからです。余計なお世話かもしれませんが,私に対応してくれた若い行員の将来が心配になりました。いまや知識はネットで簡単に手に入ります。人間が対応するからきめ細かく対応できるというのは「可能性」にすぎず,実際に,個人がネットから簡単に得られる情報を上回るような情報をもち,プロとしてのアドバイスができる能力をもつ人はどれだけいるのでしょうかね。もちろん,私が資産家なら,もっとレベルの高い行員が登場したのかもしれませんが,いやしくも銀行の店舗で,そこに口座をもつ客への対応で出てきた以上,そんな変な行員を出してきたわけではないでしょう。
 携帯電話をAUから格安に変えたのも,店舗対応に意味がないと感じたからです。AUがあわてて料金引き下げをしようとしていますが,それでも今の携帯料金のほうが低いです。毎月の負担は劇的に下がりました。そもそも電話での通話はほとんどしないので,基本料金の高さがネックだったのです。複雑な料金体系も問題でした。複雑な料金体系だから,店舗での説明というニーズもあったのでしょう。これはビジネスモデルがおかしかったのです。料金体系をシンプルにし,基本料金を下げ,店舗対応を不要とするというのが,これからの携帯会社のあるべき姿でしょう。
 機械による雇用代替が進まないのは,人間による対応が必要と思い込んでいる企業が,ITやAIを活用した新しいビジネスモデルを構築し切れていないところに原因があります。このことは,新しいビジネスモデルがでてくれば,あっというまにそれが席巻し,少なくとも旧来の業務はなくなり,そこに張り付いていた人は,うまく転換できなければ余剰人員となるということを意味しています。
 そういえば銀行については,ネット銀行に口座を開設しました。海外での利用がしやすいことが理由でしたが,国内での利用も何も問題がありません。店舗がなくても何も支障がありません。上記の若い行員はそのネット銀行の名前を知りませんでした。Uberを知らないタクシー運転手に会ったときと同じような危うさを感じました。

|

2017年7月17日 (月)

プロ人材と独禁法

 昨日の日本経済新聞の朝刊にも出ていましたが,プロ人材の抱え込みが独禁法の問題とならないか,ということで,公正取引委員会が研究会を発足するということが記事に出ていました。非常に面白いテーマです。
 事前に公正取引委員会の人が私のところに来て話をしたとき,そこで思ったのは,労働法のアナロジーで考える場合に,労働者側の話と使用者側の話がゴチャゴチャにならないようにしなければならないということでした。もちろん非雇用型だと,労働者も使用者もないのですが,どちら側の競争制限行為を問題とするのかで議論の仕方も異なってきそうです。記事では,労働者的なプロ人材を使用者的な取引先が抱え込むことが問題とされていたので,使用者側的な立場にある人の「談合」が問題となるのでしょうね。
 私個人は,むしろ非雇用型のプロ人材の団結と独禁法の関係に関心があるのですが,彼らのほうは,どちらかという使用者側の人間が引抜をしない協定などをしてプロ人材を抱え込むことの問題点に関心をもっていました。芸能事務所とかプロスポーツ選手が具体的なターゲットです。
 たしかに,これは副業・兼業といった経産省の関心の延長戦上にある問題で,ここに独禁法でメスを入れるというのは興味深いアプローチです。
 プロ人材の引抜防止協定が結ばれたとき,これを優越的地位の濫用や下請法的なアプローチで対処することもありえるのですが,これをプロ人材のほうの団結で対抗できるということにしてみればどうでしょうか。労働者でいえば,使用者団体と労働者団体の交渉の問題となるということです。使用者側の競争制限行為があれば,労働者側も競争制限行為で対抗するのです。
  どうしてこういう発想をもったかというと,欧州での産別交渉で,たとえば経営者側の団体で,これ以上の賃金では労働協約を締結しないという「談合」をしたとき,これは理論的には競争制限的な行為として問題となり得ますが,労働者側も労働組合を結成してこれに対抗することができるのです。「談合」には「談合」を,です。こうなると力勝負の話になり,マイナスとマイナスが打ち消し合って,競争的な状況が成立しているとみることはできないのでしょうか。だからこそ労使自治が成立し,独禁法の問題から離れるということではないでしょうか(欧州では,労働組合は合法的なカルテルだと言われることがあります)。この論でいくと,雇われないプロ人材にも,同じことがあてはまるかもしれません。
 今後,独禁法の禁圧から解放されて組合立法ができた歴史のあるアメリカ労働法が注目されるところです。欧州の労使自治の研究やアメリカ労働法の分厚い歴史研究が,再び脚光を浴びるかもしれません。公正取引委員会の研究会での議論の展開に注目したいところです。

|

2017年7月15日 (土)

広島日帰り出張

 昨日は,広島県労働委員会の委員研修の講師に招かれて,広島に行ってきました(その前の日は14都道府県の労働委員会の使用者委員の会議が,兵庫県担当であったため,そこでの講師もしました)。演題は,拙著のタイトルとおりの「AI時代の働き方と法」としました。現在の働き方改革の話をしてもよかったのですが,時間が限られているし,どうせなら私しか話せないような内容で話したほうがよいだろうと思い,このタイトルを選択しました(前日もタイトルは『第4次産業革命と雇用』と違っていましたが,やはりAIと労働政策の話が中心的な内容でした)。労働委員会での研修は,以前に佐賀と大分でやったことがあり,たぶんこれが3回目だと思います。やはり西日本が多いですね。
 講演のなかでは,自営的就労の話もしました。自営的就労については,公正取引委員会も動き出しており,今後,厚生労働省との縄張り争いが深刻となるかもしれません。私のところにも,先月,公取の方が話を聞きに来られましたが,まだ十分に論点がしぼれていない感じでした。ただ,ちょっと功を焦っている感じもあり,ほんとうは私たち研究者が地道な基礎研究をしたうえで,それを政策に反映させるという手順をふんだほうがよいのになという気はしています。
 私が労働法のニューフロンティアと呼んでいるように,自営的就労というテーマは,研究者にとって宝の山です。労働法の研究者も,競争法などの他分野の人たちとコラボしながら研究を進めていく必要があるでしょう。講演で呼ばれたときも,必ず自営的就労のことを話すようにしており,多くの人に関心をもってもらうよう努めています。
 それで広島の話に戻りますと,とても楽しかったです。なんと言っても,神戸から1時間くらいでいけるので,移動が楽でした。懇親会にも呼んでいただき,委員の方も職員の方もよくしてくださり,雰囲気もとてもよかったです。昨年から広島の公益委員をやっている山川和義君と久しぶりに会えたのもよかったです。短時間の滞在でしたが,広島にはとても良い印象が残りました。宮島は以前から気に入っていたところで,旅行に行ったこともあります。今回は時間がなかったですが,また近いうちに宮島に遊びに行きたいと思います。帰りは賀茂鶴ゴールドともみじまんじゅうをお土産に買いました(ついでに獺祭も買いました)。

|

より以前の記事一覧