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2018年5月 6日 (日)

Call me by your name

  少し前の日経新聞の夕刊の映画紹介で高い評価だったので,みてみることにしました。男性の同性愛の話と言ってしまえば,身も蓋もないのですが,少し前のイタリアの美しい風景を背景に,思春期の感受性の強い美少年Elioとマッチョでハンサムなアメリカ人Oliverの妖しい恋愛の世界が見ものの映画でしょう。
 時代はイタリアの社会党政治家で首相にもなったことのあるCraxiの名前が会話に度々出てくる1980年代。まだ同性愛が社会的に認知されていなかったころのことです。そんな時代であっても恋愛感情は抑えられるものではありません。
 アメリカの大学院生であるOliverは,考古学の教授であるElioの父のところに勉強のために北イタリアに来ています。夏の6週間しか滞在しないのですが,その短期性が恋の炎を強めたのかもしれません。これは男女に関係のないことでしょう。いよいよ帰国となったとき,二人はついに肉体的に結ばれることになります。
 Elioの両親は二人の愛に気づいていましたが,黙認していました。大学教授の父と語学堪能のインテリの母,そしてElio自身も読書と音楽(古典の編曲)をするなど,教養高き一家には,息子がとらわれてしまった世間の常識から逸脱した愛を許容する度量があったのでしょう。それと両親の息子への深い信頼と愛情がとても印象的でした。父はOliverが帰ったあとに悲嘆に暮れているElioに優しい言葉をかけます。青春時代の貴重な経験として大切に思い続けるべきと語りかけたので,この父の言葉に息子は救われます。
 個人的には,同性愛は,画像としてあまり好きではないのですが,それでも客観的にみて,とてもきれいな映画に仕上がっていると思いました。
 ところで,この映画の監督Luca Guadagnino は,かつて「ミラノ,愛に生きる」(原題は「Io sono amore」)で星二つと厳しい評価をしたことがありました(そのときのブログは,誤って削除してしまったもので,いまはネットのアーカイブでしかみることができません)。あの映画よりも今回の映画のほうが印象は良かったと思います。同性愛が社会的に禁忌であった時代の描写ということで,歴史的な意味もあるでしょう(Oliverは,結局,普通に結婚し,そのことを聞いてショックを受けたElioの何とも言えない悲しげな表情をアップで映しながら,映画は終わります)。でも,ちょっとElioのシーンが長すぎないでしょうか。監督はよほどElioが気に入っていたのではないでしょうか(監督の主演俳優への同性愛的な思い入れという点では,かつてRené Clément監督,Alain Delon(アラン・ドロン)主演の「Plein soleil (太陽がいっぱい)」をみたときにも感じたことがありました)。
 夏のイタリアが懐かしかったこともあり,今回は☆三つにします(5点満点)。☆☆☆

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