« 法学教育は必要,されど法学部は必要か? | トップページ | 憲法記念日を前に起訴便宜主義を考える »

2018年5月 1日 (火)

5G時代を想像し,創造する

 今朝の日経新聞の経済教室で澤田康幸氏が書かれていた「アジアの技術革新と雇用 所得・需要増大の恩恵大 労働規制規制緩和・再分配カギ」という記事は,細かいところはともかく,ほぼ日本にもあてはまる話です。課題であげられている教育政策,労働・雇用政策,租税政策は,第4次産業革命と経済・雇用政策というのを考えている者にとっては,おなじみの三大テーマです。
 なかでも教育政策は重要なのですが,政府関係の会議では,教育というと理系人材の育成,AI技術者の育成というレベルの話になってしまうことがあり,普通の人がどうやって生きていくかということを大事に考える私とは関心が合わないことが多いです。
 一方で,インタビューなどを受けたとき,これからは創造的な人材を育成する必要があると話すと,そんな能力をもつことができるのは優秀な人の話であって,一般の人はとても無理と反論する人もいます。しかし,それは間違いなのです。私がいつも述べているのは,現在優秀とされる人こそ危険であり,受験秀才のような頭でっかちでない人にこそチャンスがあると述べています。なんとなく世間には,自分のことを一流大学を出ていないし,たいした資格やスキルも身についておらず,努力するしか能がないと決めつけている人も多いのです(そういう人が年齢を重ねて上司になると,困った人になってしまうのです)が,そうではなく,AI時代だからこそ発揮できる能力というものがあり,それこそが受験秀才にはないものである可能性が大なのです。つまりAI時代の到来で,これまでどちらかというと不遇であった人にもチャンスが来るのです。
 教育政策では,こうした時代の到来を予想して,先手を打ったカリキュラムを展開していってもらう必要があります。
 ところで上記の澤田氏の記事以外に,もう一つ注目される記事が5Gのことです。ソフトバンクグループは,5Gの商用化に向けた大型投資をしようとしています。通信の技術革新は,今後5Gに突入するにともない,大きな変化を社会にもたらすでしょう。働き方への影響も甚大だと思います。もっとも,大容量のデータを瞬時に送信できるということが,何を意味するのかについては,自動運転などはすぐに思い浮かびますが,ほかに広がるかは少し想像力が必要でしょう。
 私は次のように妄想しています。
 何かをするために自宅から出るということがなくなります。企業のオフィスはなくなり,多くの人が自宅に仕事部屋(アトリエ)をもつようになります。住宅も,それにあった規格になっていくでしょう(「自宅にアトリエを」というキャッチコピーを使った住宅販売がなされるでしょう)。買い物に出かけるということもなくなります。自宅にバーチャル店舗が現れるからです。自宅にいながら世界中の旅行体験もできます(ローマの「真実の口(Bocca della verità)」に手を入れる疑似体験ができます)。人びとが通貨を得る手段も変わっていくでしょう。物理的な労働をして通貨を得るのではなく,他人がほしがるようなアイデア,情報などをネットをとおして提供できる人が,より多くの通貨を得て,そしてより価値の高いものを入手できるでしょう(芸術的な才能をもつ人が輝く時代が来るでしょう。)。通貨は暗号通貨(仮想通貨)のようなバーチャルなものとなるでしょう。運動不足となる心配がありますが,ウエアラブル機器による健康管理でばっちり対応できるでしょう。

  教育を考える前に,まず想像して楽しんでみることから始めたほうがいいですね。そこから新たな時代を切り拓く創造性が生まれてくるはずです。

|

« 法学教育は必要,されど法学部は必要か? | トップページ | 憲法記念日を前に起訴便宜主義を考える »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事