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2018年3月11日 (日)

米朝電撃会談と歴史の教訓

 昨日に続いて,日本経済新聞の「春秋」についての話です。3月10日の朝刊で,1939年の独ソ不可侵条約のことがとりあげられていました。
 「そのころ日本はノモンハンでソ連と戦っている最中」でしたが,「仲間と頼んでいたドイツが,敵のソ連と握手した衝撃はいかばかりだったろう」。「こんどの米朝の複雑怪奇も相当なものだろうから,日本外交のまさしく正念場である。かの不可侵条約には,じつはポーランド分割を決めた秘密議定書が付属していた。歴史は多くのことを教えてくれる」。
 昨日も取り上げた半藤一利『昭和史-1926~1945』(平凡社)では,日本政府が情報戦でいかに遅れをとっていたかが克明に描かれています。とくに悲劇的なのは,最後の最後までソ連の仲介による戦争終結を信じ続けて,結局,ソ連の対日参戦というひどい裏切りで終わったことです。
 米朝会談が日本の頭越しに行われることの危うさをよく理解しておかなければなりません。日本は,第2次世界大戦でソ連に裏切られたように,今回もアメリカを信じていながら最後は裏切られるということがないように用心しなければなりません。米朝韓が日本抜きで何らかの秘密合意をしてしまう可能性はないでしょうか。米韓が北朝鮮への制裁は継続するという話だけ聞いて,安心しているようでは甘いと思います。
 森友問題で安倍政府の力が急速に弱まりつつあることも心配です。森友問題は公文書の書き換え(刑法犯にも該当しかねない)のような,政権を揺るがしかねない問題になっていますが,同時に国際情勢も風雲急を告げています。
 ノモンハンでソ連と死闘を繰り広げていた日本の政府は,まさか日本と防共協定まで結んでいたドイツがソ連と手を組むとは夢にも思っていませんでした。「ときの平沼騏一郎首相は『欧州の天地は複雑怪奇』なる言葉を残して退陣した」のです。そして現在,トランプと金正恩,この二人の間で何か複雑怪奇なことが起こらないとは限りません。「異形の2人の接近が日本に,東アジアに何をもたらすのか凝視せねばなるまい」と春秋は結んでいます。
 安倍政権は,先進国のなかでも最も安定的な政権であることが,日本の外交上のポジションを高めていました。私は別に安倍政権の応援団というわけではありませんが,国益に沿った行動はどいうものかを,野党もよく考えてもらいたいと思っています。外交と内政をうまく切り分ける知恵はないでしょうか。

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