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2018年2月12日 (月)

Willkommen bei den Hartmanns

  久しぶりに映画館で映画を見ました。日本語のタイトルは「はじめてのおもてなし」ですが,ちょっと違うと思います。いつも,映画の邦語タイトルはもう少ししっかり考えてもらいたいと思っているのですが……。
 この映画は,ドイツ人の富裕な中流家庭の抱える問題と,ドイツに増えてきている難民の問題を描いたもので,具体的には,その難民の一人をHartmann家に受け入れたことにともなうドタバタを,コメディタッチで描いたものです。
 校長まで勤め上げた元教師の母Angelika は,医師の夫で若作りに執心のRichardとの仲がうまくいかず,いつもワイングラスを離すことのできないアルコール依存症になっています。心の空白を埋めるかのように,難民に寄付をしたりするなかで,ついに夫と息子の反対を押し切って,ナイジェリア難民のDialloを受け入れることにします。Dialloは好青年ですが,Richardは心の中では外国人への差別意識は捨てておらず,職場での言動にそれが表れます。隣家のおばさんも外国人に敵視を向きだしにしています。難民施設の職員も,決して,外国人にフレンドリーというわけではなく,彼らをなんだか檻に入れた動物のように扱っています。おまけに国もテロリストの危険がないか,随時,監視しています(受け入れ先のHartmann家の中まで監視しているところも怖いです。いまや家庭内のプライバシーなどあったものではありません)。
 Hartmann家は,弁護士の息子Philippは妻に逃げられ,小学生の息子Basiは引き取ったものの,なかなかBasiをかまってやれず両親に任せているなかで,Basiはいろいろ問題を引き起こします。30をすぎても大学生の娘Sofieは,王子様がやってくることを夢見るお嬢様で,恋も学業もぱっとしない毎日を送っています。そんな家族の問題を,Dialloは,いろいろ助けていくのですが,世間はDialloに白い目を向けます。
 外国人への偏見の問題を描いた作品であり,最後はハッピーエンドなのですが,若干,気になったのは,Angelikaは,難民問題に理解をもつ女性とはいえ,それは決して進歩的な考え方によるものではなかったところです。家庭の問題など自分の心の問題を解消するために慈善活動に走ったという面があることからもわかるように,家族がボコ・ハラムに殺されてしまい天涯孤独になったDialloを,ある種の哀れみからドイツに同化させることに協力した女性だったのです。
 Dialloは,好青年だし,テロリストと関係がなく,ナイジェリアから家族を連れてくる危険もなく,むしろHartmann家の家庭問題を解決してくれるような,ドイツ人にとって文句のつけようのない好ましい難民でした(最終的には亡命申請が認められます)。難民問題に揺れるドイツですが,このわかりやすい選別意識が透けてみえて(それは当然の本音であり非難することはできないのですが),ここに難民問題の難しさがかえって浮き彫りになったように思えます(Dialloのような難民はなかなかいないでしょう)。
  さらに気になったのは,Bastiの非行が学校で問題となったときに寄付で解決できたことや,Philippがワーカホリックからくる精神異常から入院させられていたときに退院を医師への賄賂で実現できたことなどがさらっと描かれており,ほんとうにドイツでそんなことがあるのかと思ってしまいました。映画の全体の流れからすると,ここだけフィクションとも思えず,これもまたドイツの闇を描いた部分なのかもしれません。厳格なドイツ人のイメージと違うのですが,でも難民への差別意識などと並び,人間の本質はどこでも同じということなのかもしれません。
  (★★★☆☆ ★三つで,普通のコメディとしても楽しめますが,いろいろ考えさせられる映画だとも思います)

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