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2018年2月 6日 (火)

名古道功『ドイツ労働法の変容』

 名古道功『ドイツ労働法の変容』(日本評論社)をいただきました。どうもありがとうございます。ドイツ労働法の研究をコツコツと積み重ねてこられ,関西労働法研究会の幹事という地味な仕事もずっと引き受けられてきた名古先生が,これまでの研究業績を1冊の本にまとめらたことは,ほんとうに喜ばしいことです。
 京大系の労働法学者の多くは,数人の例外を除き,ドイツ法を比較法の対象とされています。関西にいると,ドイツ法研究をしなければ労働法学者ではないというくらい多くの研究者がドイツ法に取り組んでいますが,西谷敏先生のような大学者がいるので,なかなかドイツ法研究で独創的な成果を出すことは難しいところもありました。そうしたなか,名古先生の著書は「変容」という言葉がタイトルに含まれていることからもわかるように,ドイツ法の変化を分析するという切り口で,日本法への示唆を得るという試みをされたものといえます。
 第5章の「総括」で,そのことが語られています。もちろん私とは現状認識や評価からそれへの対処法まで,意見を異にする部分がほとんどで,それは労働法に関する根本的な考え方が違うことからくるものですが,名古先生のような研究スタイルこそが日本やドイツの労働法学の主流であり,そのオーソドックスな考え方に基づく正統的な労働法の研究成果を出して下さることは,ほんとうに大切なことだと考えています(皮肉でも何でもありません)。
 本書の最後の文章は,次のようなものです。
 「労働の現場においてデジタル化等の技術革新が進んだとしても,利潤の徹底追求との資本の論理に変化があるとは思われず,また労働者でしかできない多くの仕事は存続する以上,『人間の尊厳に値する生存』を常に基軸として労働法を構想していかねばならないであろう。」  
 これと拙著『AI時代の働き方と法-2035年の労働法を考える』(2017年,弘文堂)の第8章「労働法に未来はあるか?」を読み比べてもらえれば,名古先生の正統労働法と私の異端労働法との距離の大きさがおわかりになるかと思います。

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