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2017年8月27日 (日)

ビッグデータ収集とクラウドソーシング

  昨日の日経新聞の「オピニオン」に,村山恵一氏の「ネット群衆の力 生かす解を」というタイトルの論考が掲載されていました。村山氏は,私も一度取材を受けて,オピニオンに登場させてもらったことがあります。非常に優秀な方です。
 今回の記事の内容も,そのとおりと思う部分がほとんどでしたが,労働法屋としてちょっと気になるところがありました。それは次の部分でした。
 「例えばクラウドワークスは,人工知能(AI)を開発したい企業のために,ビッグデータを収集するサービスに乗り出した。大量の音声を録音したり,大量の画像に注釈を付けたりする作業も,140万人の登録ワーカーがかかれば,あっという間に処理できる。海外より出遅れ気味の日本のAI開発をクラウドソーシングで後押しする。そんな新手法といえる。」
 AI開発に必要なビッグデータの収集は,IoTなどによる無作為にできるものもあれば,コンピュータに学習させるための「教師データ」作りのように,人間の手が必要なものもあります。この作業は,基本的には,単純労働の部類のもので,人海戦術が使えることが多いようです。どれだけの報酬が支払われるのかわかりませんが,内職的な家内労働の現代版のようなものではないか,という気がしないわけではありません。クラウドソーシングをそのための手段として使うのは名案のようですが,クラウドワークを,これからのフリーランスの働き方の一典型例と位置づけて考えていきたい私にとっては,ちょっと複雑な気持ちです。
 クラウドソーシングは,文字どおり,人材をクラウド(群衆)から調達するもので,ネット社会だからこそ可能なものです。ただ私は,これを仲介する事業が社会的に支持されるためには,アウトソーシングをする側の正当な利益と,自営的労務を提供する側の適職探しを結びつけるという要素がなければならないと考えています。もちろん労働需給のマッチングさえできればそれでよいのでは,という考え方もあります。とりわけ今回の記事に出てくるようなAI時代に必要なデータの収集のためだから,社会的正当性があるともし言われると,そうかな思うかもしれません。
 ある研究会で,今後のAIの発達により,営業担当の人の仕事が不要になったとき,これまでの営業で培った膨大な情報をデータ化する作業に配転すれば雇用が維持できるというアイデアを聞いたことがありました。AIはデータあってのものですから,こうした作業は必要です。自分の仕事を奪ったAIのためにデータを作成するのは皮肉な感じもしますが,リストラを回避するためであれば,むしろ有用な人材活用と評価できるかもしれません。ただ,こういうケースとは異なり,ビッグデータ集めのために,新たに請負労働者を多数活用するとなると,ちょっとどうかなと思ってしまいました。これもAI時代の到来には避けて通れない道なのでしょうか?
   このモヤモヤ感は,私の誤解から来ているところも多いのでしょう。もう少し勉強してから,もう一度,このブログで報告したいと思います。

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