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2017年7月 7日 (金)

前例を無視して,建設的破壊をせよ!

 七夕ですが,いまさら何を願うかということがありますが,健康や家内安全というのはちょっと平凡なので,あえて願うなら,創造的な仕事がしたい,ということでしょうか。いくら頑張っても,たいしたことはできないのですが,それでもそういう気概だけはもっておきたいものです。
 少し前の日本経済新聞(7月2日)に「トヨタ,『第3の創業』できるか」という記事が出ていました(工藤正晃氏の署名記事)。トヨタでは,従業員数が36万人に膨らんでいるなか,豊田章男社長は「新しいことをリスクとみる文化が強い」と危機感を強め,そして,「競争相手とルールが大きく変わろうとしている。建設的破壊と前例無視が必要だ」と話したということが紹介されていました。
 自動織機で創業したトヨタは,社長の祖父の喜一郎氏が,80年前に欧州で既存の繊維業が滅ぶ行く光景をみて,まだ創業の事業が安定していたにもかかわらず,自動車製造に踏み切ったそうです。そうした経験をもつトヨタが,いま第三の創業を目指しているのです。
 トヨタのこのチャレンジは,新聞でもよく報道されているので,私は授業や講演でも,よくふれています。トヨタほどの大企業でも,新しいことに積極的にチャレンジしていく必要があるのでしょう。いや大企業だからこそ,沈没しかけたら早いのです。思い切った舵切りが必要なのでしょう。
  「前例無視」というところがいいです。何も考えず前例を踏襲することこそ大切だ,と考える文化が危険なのですが,よくそういう文化をもつ組織に遭遇します。組織の有職故実に精通している人が幅を利かせているようなところには,将来性はありません。
 トヨタほどの企業でも,モデルチェンジをしていくのです。現在の企業が,そのまま安泰ということはありません。製造業に就職したつもりが,ソフト産業に変わってしまったということもありうるのです。企業がそうなので,労働者のほうも,変化が求められます。労働者にも,建設的破壊が必要です。
 平家物語がいうように,この世は無常で,盛者必衰ですが,そこで生きながらえるためには,破壊が必要なのです。以前にこのブログでもとりあげたように,生物はかつては自分の遺伝子をそのまま増殖させて存在し,死というものがありませんでしたが,そうした生物は大きな環境変化にあえば簡単に絶滅してしまいました。そこで,環境の変化のなかで遺伝子を確実に残すために,有性生殖により遺伝子をシャッフルして多様化し(子孫を残す),そして古い個体は死んでいくということになりました(性と生と死)(田沼靖一『ヒトはどうして死ぬのか』(幻冬舎新書)を参照)。
 このことは,企業や労働者の「生存戦略」にもあてはまりそうです。他の「遺伝子」を積極的に取り入れて環境変化に強い「遺伝子」を作りだし,それとともに古いものは寿命が来たものとして破壊していくということが必要なのです。ほんとうの遺伝子は,アポトーシス(細胞の自殺)のメカニズムがありますが,企業や労働者の遺伝子は,アポトーシスは働かない(社長の定年というのはアポトーシスの一種でしょうが,相談役として残るなど,なかなか組織からいなくなってくれないことが,いま問題となっています)ので,意識的に古いものを「殺していく」という破壊行為が必要なのです。
 物騒な話になってきましたが,大事なのは創造です。そのためには破壊も必要だよ,という当然のことを再確認してみました。

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