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2017年6月21日 (水)

ビッグデータの海外流出?

 一昨日の日本経済新聞のオピニオンのなかで,「介護サービス大手のセントケア・ホールディングは3月,人工知能(AI)を活用してケアプランを提供する新会社を設立した」とあり,この新会社CDI社には,「セントケアのほか介護分野に力を入れだした日揮,介護施設を運営するツクイや社会福祉法人こうほうえん(鳥取県米子市),産業革新機構も出資している」と紹介されていました。成長産業に,日本の企業が取り組んでいくことはビジネス的の面でも,さらに日本の高齢者の受ける健康や介護に関するサービスの質の向上という面でも,とても大事なことです。
 ただ,一つだけ気になったのが,「『データをAIでふるいにかけ,ケアプランの有効性を高められないか』。そう思い立って,担当者は米西海岸の有力大学のAI研究所の門をたたいた。『おもしろい』。研究者は目を輝かせた」。「研究者は学内でベンチャー企業を立ち上げ,セントケアに分析結果を伝えると約束した」という部分です。研究者がとびついたのは,「要介護者の見守りなど現場へのAIの応用に取り組む米国の研究者にとって,3万件ものデータは深層学習を進めるうえで宝の山だから」です。
 CDIは,うまく契約したのでしょうが,日本の高齢者の貴重なデータが,アメリカのベンチャー企業の手に渡ってしまい,ビジネスで活用されそうな感じがしてしまったので,気になったのです。
 どんなに優秀な人工知能があっても,ビッグデータがなければ宝の持ち腐れとなります。ビッグデータこそ,多くの企業が喉から手が出るほど求めているものです。GoogleもAmazonもデータ集めに余念がありません。あっさり外国に提供するのは,ちょっともったいないのでは,と思ってしまいました。
 たぶん日本でこういう分析をしてくれるAI研究者が見つからなかったのでしょうね。そうだとすると,なぜこうしたベンチャー企業が日本の研究者によって立ち上がらなかったかということを,もっと真剣に考えなければなりません。
 個々人の健康データは,その管理がデリケートである(プライバーがとくに関係するセンシティブデータである)という点でも重要ですし,高齢社会においては大きなビジネスチャンスを生むという点でも重要です。政府が戦略的にかかわるべきことでしょう。
 健康データをめぐる権利関係についての議論はどこまで進んでいるのでしょうか。今後,医療現場でIoTが進むと,外国製の機器を使えば,日本人の患者のデータがそのまま簡単に海外流出してしまうことにもなるでしょう(すでに起きているのかもしれません)。そこに懸念すべきところはないのでしょうか。
 新聞記事には何もこの点が出ていなかったので,気になってしまいました。たぶん私が知らないだけで,きちんと対策はとられているものだと信じています。

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