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2017年6月23日 (金)

学会講座第6巻

 日本労働法学会編の『講座労働法の再生第6巻』(日本評論社)のタイトルは「労働法のフロンティア」だったのですね。水曜日に受け取りました。私は第2章の「雇用社会の変化と労働法学の課題」という平凡なタイトルの論文を執筆しています(当初は「法と経済学」に関するテーマの依頼でしたが,変えてもらいましたので,タイトルに悪口を言ってはいけませんね)。もともと町内会で何かイベントをやるので強制参加というノリだったので,気が進まず,何度もイベントメンバーから外してほしいとお願いしていたのですが,脱落を許してもらえませんでした。なんとか昨年末に書きましたが,半年も経過しており,何を書いたか忘れてかけていました。
 論文の内容は,「労働法の再生」というのがこの講座の共通テーマだと思ったので,労働法学は再生のために何をしなければならないかということを書いたつもりです。拙著『AI時代の働き方と法-2035年の労働法を考える』(弘文堂)と内容的には重複しているところもありますが,私は同じモチーフのものを書くことにはファイトがわかないので,前著ではメインにしていない労働法学そのもののあり方を意識した論考にしたつもりです。そういうこともあり,最初に諏訪康雄先生を,最後に西谷敏先生に登場していただきました(著作からの引用という形の登場です)。
 本が届いたので,まずは私の論文を確認しようとすると,右頁から始まる論文のすぐ左の頁が東大の水町さんの論文の最後のページでした。そこに「jurisprudence」という言葉があったので,おやおやと思いました。この言葉は,私が以前に論文の末尾に使ったことがあったからです。それが大竹文雄他編『解雇法制を考える-法学と経済学の視点』(勁草書房)に寄稿した論文「解雇法制の"pro veritate"」です。そこでは,私は「法的賢慮(Jurisprudence)」という表現にしていました。経済学との対話を意識した論文集でしたので,経済学の議論との違いを説明するために,法的(juris)な知恵(prudence)も大切だよと言ったつもりでした。
 経済学において原理主義的な主張がまだ強かった時代に,法学の独自性を示すという意味込みで,少し気取って外国語を使ったのです。論文のタイトルの「pro veritate」(真理のために)と並び,気負った感じのみられる論文ですが,論文の内容そのものについては,けっこう満足していました。
 ところで,今回の学会講座の論文については,続編(?)を書く機会がありました。総務省のAIネットワーク化に関する会合のメンバーを中心とした出版企画で,私の論文は一番最後の目立たないところに,ひっそり収録されるはずです。タイトルは「変わる雇用環境と労働法-2025年にタイムスリップしたら」です。未来予測エッセイのようなもので,労働法学の未来についても少しだけ言及しています(それが「続編」の意味です)。現在,ゲラのチェックの段階ですが,未来予測をするのは楽しいですね。経産省の若手官僚の「不安な個人,たちすくむ国家」が話題となっていますが,不安ばかりではつらいです。未来は豊かでチャンスがたくさん。国家に頼らず,したたかに生き抜いていこうというメッセージを今後も出し続けたいと思います。

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