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2017年6月22日 (木)

藤井聡太四段28連勝(歴代記録タイ)

 将棋ネタの頻度が高まりました。藤井四段が勝ち続けるからです。
 プロの将棋は勝てば勝つほど対局が増えます。強い人ほどたくさん対局をして,収入も増えます(あたりまえですね)。
 ですので年間最多対局という記録もあり,過去最高は,羽生善治三冠が2000年に達成した89勝です。連勝記録は対戦相手次第で勢いということもあり偶然性もないわけではありません。それでも28連勝はすごいのですが,記録保持者の神谷広志八段の場合は,狂い咲きといったら失礼ですが,人生の運をすべて使ったという感じかもしれません。神谷八段は記録男ではありますが,順位戦のA級経験もないですし,タイトルもとっていないので,トッププロ棋士ではありません(神谷八段,申し訳ありません)。
 そこで,棋士の強さを示す記録としては,年間対局というのが出てくるのです。もっとも,この記録も,ある程度強くなって,予選免除で本戦から登場するとか,いわゆるシード棋士になったりすると対局数もそれだけ減るので,ある時点での最強を示す記録ではありません。ただ,若いときに年間最多対局数の記録をとっている棋士はすべて大成しています。歴代ベスト10をみると,過去最多は,羽生三冠の2000年の89局です(この年の年間68勝も,年間勝数歴代1位です)。ついで故米長邦夫の88局(1980年),谷川浩司九段(1985年)と佐藤康光九段の86局(2006年),中原誠永世名人の82局(1982年),羽生三冠の80局(1988年),森内俊之九段の79局(1981年),森下卓九段(1991年)と羽生三冠(1992年,2004年)と谷川九段の78局(2000年)です。
 ここに中原,谷川,森内,羽生という永世名人がそろっていることがすべてを物語っています。それに米長も佐藤も名人経験者です。森下九段は無冠の帝王ですが,若い頃は羽生と何度もタイトル戦を戦った元A級棋士で,その実力は折り紙付きでした。
 ところで現在,藤井四段は,今年度だけでみても,昨日の対局の前までに17連勝ということで,どこまでこの記録に迫れるかも注目です。もちろん最多勝利(羽生の68勝),最高勝率(中原の0.8545)も狙えるでしょう。
 そこで,澤田真吾六段との対局でしたが,藤井四段の完勝でした。これで今年度18勝0敗(対局18,勝数18,勝率1.0000)です。無敗の28連勝も異次元ですが,対局数や勝数などの地味な記録も注目したいところです。
 澤田戦では,先手藤井四段の駒が前半から伸びていき,澤田陣の飛車や金が押し込まれているような感じですが,プロ的にはどうも,こういうのは指しすぎで,逆襲をくらいやすい形のようです。実際,澤田六段は逆襲して,途中で飛車・銀両取りに角をうち,銀をとって馬を作ったあたりは互角の印象もありました。そのあと,藤井四段は銀で馬を追ったのですが,澤田六段の6六馬が香取りで,しかも玉に迫るというので,呼び込みすぎかと思ったのですが,5五角と打ち返して馬を消しました。その後,澤田六段から飛車,桂,香のどれかが取れる位置に味のよい角打ちがあったのですが,藤井四段はいったん飛車を逃げた上で,6四に角をうち,これが攻防の好守で,あとは4四歩から4筋を攻めて一気に寄せてしまいました。澤田六段としては,せっかく馬を作ったのですが,それが窮屈で働かず,働かせようとして飛車にあてたために,飛車が4筋に移動し,攻撃に参加してしまいました。4七に歩を打てば飛車を止めることができたのですが,その順が回ってこない鋭い寄せでした。谷川九段の高速のきれいな寄せとはまた違う,ライフル銃のようだが,鋭利な刃物でもあるといった感じの寄せに思えました(プロはどう評価しているのでしょうかね)。負けたほうはショックが大きいのではないでしょうか。この相手には,もう勝てないと思ったでしょう。
 澤田六段とは,前の対局では激戦をしていて実力は互角という感じでしたが,たった数日のうちに藤井四段は格段に強くなっていた感じです。育ち盛りのころの力士は,「一晩寝るたびに強くなる」なんてことをいいますが,将棋の世界の藤井四段も,そういう感じですね。
 次は竜王戦の決勝トーナメントの初戦です。相手の増田康宏四段は,非公式戦の炎の七番勝負の初戦の相手で,藤井四段が勝っています。藤井四段が入るまでは現役最年少棋士だった19歳です。増田四段の竜王戦決勝トーナメント進出も,棋界では十分に大きなニュースになる快挙なのですが,藤井フィーバーでかき消されています(テレビのほとんどすべての報道番組でとりあげています)。心中おだやかではないでしょう。増田四段の雪辱はなるでしょうか。ひふみんは,藤井四段はあと5連勝はすると無責任な予言をしていましたが……。

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