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2017年5月 8日 (月)

村上春樹『騎士団長殺し』

 阪神タイガースが,歴史的な大逆転で,昨年の覇者の広島に勝って,その翌日もうかれることなく,完封勝ちで3タテにして,首位をがっちり守ったことに,とても幸福を感じている私は,自分でも非常に平凡な人間だなと思います。
 ゴールデンウイークは,昨年も今年も地元にいるだけで,遠出はしませんでした。唯一,出かけたのは,神戸北野のInfiorata を見に行ったときでした。その近くのVieniで遅いランチをとりましたが,相変わらず完璧なvino,pasta,dolceでした。
 これを除くと,せっかくの休みでしたが,ほとんど家で執筆をしていました。その合間に読み終えたのが,村上春樹『騎士団長殺し』(新潮社)です。2巻ものの長編で,読み終わるのに随分と時間がかかりました。春樹ワールドは,私には基本的にはよく理解できていませんが,嫌いではありません。今回は,読んでいるとすぐに眠くなってしまい,そのため全然進まなかったのです。でも前作『色彩を持たない多崎つくると,彼の巡礼の年』と同様,読者にとって,いろんなことを考えさせる小説と思います。
 妻から別れを切り出されて,センチメンタルジャーニーに出て,帰ってきて行くところのなかった主人公の私(肖像画家)は,友人の父である著名な画家,雨田具彦がアトリエとして使用していた家に仮住まいをすることになります。その家の屋根裏には,雨田が隠していた「騎士団長殺し」という絵がありました。わたしが,その絵の封印をといたときから,近くの石室から夜中に鈴の音が聞こえるようになり,その正体をつきとめるために,近くに住んでいて知り会いになった免色という男の手により石室が開けられて,鈴が取り出されます。そののち,絵のなかにあるのと同じ騎士団長が現れます。騎士団長は実態のないイデアであり,主人公にしかその姿がみえません。
 主人公は,死期が近い雨田を見舞いにいったとき,騎士団長を刺し殺し,「顔なが」に導かれるようにして地下の世界に迷い込みます。そしていつしか石室に閉じ込められ,そこを免色に救出されます。絵は再び封印され,雨田は亡くなり,そして雨田が住んでいた絵は焼失します。
 というようにまとめてしまうと,何のことだかわからないでしょうから,ぜひ読んで確認してください。最後は,主人公は,別れたはずの妻と元の鞘におさまるところは,ちょっと平凡で意外な感じもしましたが,ここのどのようなメッセージが込められているのでしょうかね。
 ★★★(世界で多くの人が読む本でしょうから,とりあえず読んでおきましょう)

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