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2017年5月11日 (木)

労働基準法違反の企業名公表

 日本経済新聞の記事に,「厚生労働省は11日までに,違法な長時間労働や労災につながる瑕疵(かし),賃金不払いなど労働関係法令に違反した疑いで書類送検した334件に関し,関与した企業名を同省のホームページで公開した。各労働局の発表内容を初めて一覧表にまとめ,一括して掲載した」とあったので,HPで確認しました。
 これは面白いデータですね。面白がってはいけないのでしょうが,世間でどのような労働法令違反がなされているのかを知るうえでの貴重なデータです。送検事案と局長指導事案のリストです(労働基準法違反よりも,労働安全衛生法違反や最低賃金法違反のケースが多かったですね)。これで送検かと思うようなケースもありましたが,おそらく同種の違反行動を繰り返していたのでしょう。要するにすでにイエローカードを発せられていた会社が,最後のファールでレッドカードを発せられたということだと推察しました。
 ただ,送検事案の公表は,「無罪の推定」という観点から問題がないかも,気になりました。企業相手だから,人権は関係なしということではないでしょう(法人の人権享有主体性という憲法の著名論点とも関係します)。
 労働局が厳選して送検しているので,公表しても問題はないということかもしれません。ただ,これは労働局が単にそう判断したということの公表にとどまらず,結果として,送検して犯罪の疑いがあったということの公表となってしまっていることが,ちょっとひっかかります(検察が起訴したわけでもありませんし)。労働局が送検するほどの悪質な事案に厳選したということで,企業側の利益に配慮したという理屈かもしれませんが,公表されたほうは,まだ有罪とは決まってもいないのに,強制的に公表されたという反発が出てこないでしょうか(1年が経過するか,掲載する必要がなくなれば,ただちに削除されるそうですが)。これは労働局の判断が疑わしいといっているのではなく,手続的な適正さの問題です。
 局長指導事案は,送検よりも軽い措置として公表という措置をとっているのだと思います。ただ,送検事案まで公表となると,いまのような疑問が出てくるのです。みなさんは,どう思われるでしょうか。

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