« 第132回神戸労働法研究会 | トップページ | 週刊ダイヤモンド登場 »

2017年4月14日 (金)

ヤマト・アマゾン問題に思う

 日本経済新聞のオピニオン欄の「Deep Insight」は,読み応えのある記事が次々と掲載されていて,いつも楽しみにしています。今朝は「ヤマトに映るアマゾン膨脹」というタイトルで,中山淳史氏がアマゾンのような巨大なプラットフォーマーが,産業構造にどのようなインパクトを及ぼしているのかについて論じていました。
 ヤマト問題は,私の立場からは,まずは労働問題という視点でみて,そして労働者の論理と消費者の論理の対立のなかで,前者の復権が起こりつつあるというストーリーになるのですが,実はそれにとどまらない大きな変化をはらんでいます。この記事のなかにあるように「起業した瞬間から即,グローバル企業という事例も出てくるかもしれない」という点がポイントです。
 グローバル化というのは様々な観点から議論できますが,とくにアマゾンのプラットフォームを使うことになって,グローバルレベルで,容易にビジネスを展開できるようになっていることが注目されます。アマゾンはいまやクラウド会社でもあるのです。AIの機械学習プログラムを無償で公開しています。わずかな手元資金で,スムーズに起業ができる環境をアマゾンが用意してくれています。
 これからはインディペンデント・コントラクターの時代になると私が述べているのも,こうした起業環境の劇的な改善が根拠となっています。
 一方,日本の経済政策や産業政策という観点からは,海外の巨大なプラットフォーム企業に寄生していかなければならないという面をどう考えるかという問題もあります。ヤマト問題もその一例といえますが,膨大な利益が,アマゾンを取引先とする日本企業から吸い上げられています。日本もこれに対抗して,日本版クラウドを築くという手もあると中山氏は書く一方,東京大学の柳川範之さんの「巨大化を気にする前に本質的に重要なサービスを提供できているかどうかが大事だ。アマゾンはそれができており,敵対するより十分活用して新技術,ビジネスを生むのも一案」というコメントも紹介しています。
 ほんとうに大事なのは,どうして日本において,アマゾンやグーグルのような新たな発想をもって大きく成功する企業が生まれてこないのか,ということかもしれません。日本の現状認識(という言い方は漠然としていますが,とくに経済的な面)として,私はかなり閉塞状況があると思っているのですが,実はあまりそう感じていない人も多いようです。ひょっとしたら国民は守りの姿勢に入ってるのかもしれません。しかし,すでにかなり劣勢にあると感じておいた方がよいのではないでしょうか。積極的に打って出なければじり貧なのです。日本の若者が,ビジネスや研究その他さまざまな面で,旧弊を打破していってくれなければ,日本はずるずると転落していくでしょう。AI時代の到来,デジタライゼーションの進化,グローバル化,少子高齢化などの大きな環境変化は,世界中の人にとって大きなチャンスであり,その波に乗らなければ厳しい結末が待っています。これはまさに若者の問題なのです。
 四條畷市で28歳で当選した市長が,同市でこれから生きていくのは自分たち若者なのだから,その若者が市政を握っていかなければならないと述べていたのは,実に頼もしかったですね。

|

« 第132回神戸労働法研究会 | トップページ | 週刊ダイヤモンド登場 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事