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2017年4月22日 (土)

労働時間制度改革を正しく進めよ!

 昨日の日本経済新聞の社説において,労働時間法制の改革が遅れていることについて批判的な記事が出ていました。書かれている内容は,私が日頃言っているとおりのことで,異論はありません。安倍政権は,都議会選挙のような目先の利益にとらわれず,これだけ多数の支持を得ている今だからこそ,しっかり将来を見据えた政策や法改正を進めるべきなのです。
 ただ,安部首相の周りにいる官僚のブレーンがどうも雇用政策に無知な人が集まっているのではないかという不安があります。同新聞で,「内閣官房の研究」というのが,3回連載されましたが,その初回で,いきなり出てきたのが,新原浩朗内閣府政策統括官の名です。経済産業省出身で,内閣官房の「働き方改革実現推進室」の実質トップを務める,と紹介されていました。厚生労働省を労働政策の中心から追い出してしまい,強引に「同一労働同一賃金の原則」の法制化を進めようとしているという噂が,私の耳にも入っています(真実はよくわかりませんが)。労働時間の上限規制に力を入れすぎているのも問題です。
 個人的には,経済産業省の政策の方向性にほとんど異論はないのですが,しつこく書いているように「同一労働同一賃金」だけは,あまりにも筋が悪いもので反対しています。官邸周辺で,どのような力学が働いてるのかわかりませんが,日本の雇用や労働を本当によくわかって,何が国益にかなうか,現在そして将来の国民の幸福につながるかを真剣に考えてるい人が,安部首相のブレーンになってほしいです。
 ホワイトカラー・エグゼンプションに話を戻すと,Business Labor Trendの2017年4月号で,本家のアメリカにおいて,「ホワイトカラー・エグゼンプション見直しが後退の見通し」という記事が出ていました(42頁)。短い内容なので,詳細はよくわからなかったのですが,どうもホワイトカラー・エグゼンプションの対象を定める収入要件を,ブッシュ政権下で引き下げられた(エグゼンプションの対象者を広げた)のに対して,オバマ政権は,その引き上げを行おうとしていたのを,トランプ政権が止めたということのようです。
  私の考えている日本型のホワイトカラー・エグゼンプションでは,収入要件を不要としています。大事なのは働き方の特性に応じた労働時間規制をつくることであり,自らの裁量のもとに知的創造的な業務に従事する労働者は,時間比例で増加していく割増賃金により労働時間を規制するのに適しないということが,改革のポイントです。多くの収入があるから,エグゼンプションしてもよいということではありません。詳細は,拙著『労働時間制度改革』の第8章(提言をしている箇所)を読んでください。

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