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2017年4月24日 (月)

ロボットが仕事を奪う

 日本経済新聞の日曜版の第1面で,今後,ロボットによって人間の仕事がどこまで奪われるかの推計結果が出ていました。人間の職業を,業務に分解し,どこまでロボットによって代替されうるかを測定したようです。
 私はあるプロジェクトで,これと似た発想の企画を提案中ですが,その内容はここではまだ書かないことにしましょう。より直接的に,ロボットやAIの発展が,雇用にどのように影響を及ぼすかをみる方法があると考えています。
 それはさておき,ロボットによる代替可能性は,一つの大きなインパクトにはなるでしょう。記事では,日本は「主要国で最大となる5割強の業務を自動化できることも明らかになった」とされています。ロボットに代替されやすい定型的な業務がそれだけ多いということでしょう(日経の電子版では,業種と職業を選択すれば,代替率を示してくれるサイトがあります。https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/ft-ai-job/)。
 拙著『AI時代の働き方と法-2035年の労働法を考える』(2017年,弘文堂)は,こうした技術の発達が,人間の雇用について,支援(効率化),代替(雇用減少),創出(雇用増加)といった多様なインパクトがあるものの,総量的には減少傾向にあり,いずれにせよ職業訓練による人材の再配置が起こるので,そうした未来予想のもとに政策的対応をする必要性について論じたものでした。ただ,こうしが議論は,国民が,そもそも雇用に深刻な影響が生じるという問題認識を共有してくれなければ,どうしようもありません。日本経済新聞の記者は,私と問題認識を共有してくれているようであり,今回の記事もそういう視点が十分に出ています。
 ところで,先日の神戸労働法研究会では,先月の北九州私立大学でのワークショップに引き続いて,JILPTの研究員の山本陽大君が,ドイツの白書「Arbeiten4.0」という白書(Weißbuch)の内容全体を報告してくれたのですが,そこでわかったのは,ドイツの政策の方向性が,驚くほど拙著の内容と似ていたことです。私はドイツの政策の動向については,まったく知らなかったので,びっくりしました。現状認識を共有すれば,どこの国であれやるべきことは,自ずから似てくるということでしょう。もちろん細かいところには違いがあります(集団的労使関係の位置づけなど)。また拙著では,真正な自営的就労者に対する法政策を重視していますが,ドイツは,政策対象は従属労働者以外は準従属労働者(労働者類似の者)までにとどまっているようです。
 とにかく外国の動向も視野に入れながら,これからの社会を見据えた労働政策が必要となります。まさに2035年の労働法を考えなければならないのです。来月の12日にJILPT主催の「The Future of Work 仕事の未来」というシンポジウムが東京でありますが,そこではどんな議論となるでしょうか(私は,後半の1時間ちょっとのパネルディスカッションの進行役として参加します)。

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