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2017年3月12日 (日)

育児をする女性が働きたがらないのはなぜ? 

 厚生労働省の平成24年度就業構造基本調査によると,25歳から44歳の育児をしている女性の都道府県別有業率では,なんと兵庫県は,神奈川県に次ぐワースト2でした。この率が低いのは,神奈川,兵庫,埼玉,千葉,大阪,奈良,北海道,東京,滋賀という順番で比較的都市部かその近郊のところが多いのが分かります。逆に率が高いのは,トップは島根,ついで山形,福井,鳥取,富山,石川,秋田,宮崎,高知,青森,熊本,新潟,岩手,佐賀,沖縄,香川,群馬,徳島,山梨,長崎,鹿児島,長野,三重,福島,岡山,大分……とどこまで並べても,都市部の県が出てきません。ということで,都会では,女性は育児か就労かというと,育児を選択する人が多いということがわかります。
 先日の兵庫県の地方労働審議会では,兵庫県が低いので何とかしなければならないという意見もあり,それはそのとおりなのですが,どのように対策をとらなければならないかというと,これは兵庫特有の問題ではないということにまず留意をしておかなければなければいけません。兵庫県だけ特に女性の就労意欲が低いとか,兵庫県の企業だけが育児をしている女性に優しくないとか,兵庫県だけが,地域社会において育児期の女性の就労に否定的であるとか,そういうことではないのかもしれません。
 都市部のカップルは,夫である男性の収入が比較的高いため,あえて共働きをしなくても経済的にやっていけるから育児を選択するという可能性もあるでしょう。その前提には,配偶者のいる女性が働くのは,就労による自己実現といったポジティブな意味だけではなく,経済的な理由によるものも少なくないのではないかという仮説があります。もしこの仮説があたっていれば,経済的な理由がそれほど大きくないカップルにおいては,出産をすると,女性にとって育児と就労の比較において,育児の効用を放棄するコストが相対的に高くなり,働く上での留保賃金が高くなるため,有業率が減少するといった可能性もあることになります。
 女性の有業率が低いことが意識等の問題であるならば啓発活動が効果的でしょうが,コストの計算によるものであるならば,政策的対応がそれほど必要な問題かは疑問となります。人出不足問題への対策として,育児に満足している女性に就労してもらうことが必要というのであれば,企業に高い賃金を提示させるか,より過激には,子供は全員保育園に預けて社会で育てることにし,大人は働きに出ることを強く奨励するという政策も理論的にはありえます(労働力が限られている社会を想定すると,人口維持と生産性の維持の両立を考えるならば,生産性が低い老人たちが育児をし,生産性の高い若い人には子作り(セックス)を奨励し,あとは仕事に精を出せという政策もありえるのです)。とはいえ,こんな政策は,現実的ではなさそうです。
 もちろん審議会の場では,そんな過激なことは言いませんが,原因をしっかり見極めたうえで,適切な対策をとっていただけるようにという希望だけは述べておきました。

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