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2017年3月 5日 (日)

第131回神戸労働法研究会

 

昨日の神戸労働法研究会(神戸大学社会システムイノベーションセンターとの共催)は,北九州市立大学でのシンポジウムとして開催されました。デジタライゼーションと雇用,インディペンデント・コントラクター(IC)をめぐる法的論点の検討などを集中的に行いました。私個人としては,今後の研究の方向性がクリアになった感じで,知的刺激を大きく受けました。

 ドイツのデジタライゼーションの議論については,JILPTの山本陽大君が「Arbeiten4.0」という白書(Weißbuchの総論部分を報告してくれました。ずいぶん勉強になりました。拙著の『AI時代の働き方と法』(弘文堂)で検討している政策と似ている部分もあれば,違う部分もあり,その比較は興味深いものがあります(ドイツ的な問題解決手法には特徴的なところがあり,その分析は山本君がどこかで書いてくれるでしょう)。またICとの関係では,従属労働保護の延長線上に位置づけているのか,それとも新たな枠組みを用意しようとしているのかも論点であり,昨日のシンポジウムではここがいろいろな形で何度も検討されました。欧州は,私が報告したイタリアも含め,従属労働論の延長(延長の意味は,もう少し精密に定義する必要がありますが,ここでは省略します)で,議論がされているように思います。この点では,欧州ではイタリアも含め,Supiot Au-delà de l'emploi”の影響がきわめて大きいものがあります。北九州市立大学の石田信平君が報告してくれたイギリスでも,やはりSupiotの影響は及んでいるようです。

 私自身の問題意識は,同志社大学の坂井岳夫君の報告してくれた社会保障法上の問題も視野に入れながら,新たな理念・原理でICをめぐる法を,いかにして新構築するかということにあります。Independentな個人の活動に,法がどう関わっていくか。民法・消費者契約法,税法はもちろん,憲法の職業概念の検討も必要ですし,社会保障法の再構築も必要ですし,それに何より労働法が変わらなければなりません。

 このシンポジウムの成果は,これから大きく展開されていく研究プロジェクトの橋頭堡となるでしょう。

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