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2017年2月26日 (日)

将棋界の一番ながい日

 A級順位戦の最終局の結果は次のようになりました。
 まず名人挑戦者争いについては,羽生善治三冠が,これまでカモにしていた屋敷伸之九段に敗れて,挑戦者争いから脱落しました。佐藤康光九段(新会長)は,広瀬章人八段との熱戦を制しました。これで,広瀬八段も挑戦者争いから脱落して,稲葉陽八段の挑戦が決定しました。この稲葉八段は,森内俊之九段と千日手で指直しとなっています。森内九段は勝てば残留で,佐藤九段が降級,森内九段が敗れれば,そこで降級です。森内九段は指直し局では粘ることができず無念の投了となりました。いつかは来るかもしれないことでしたが,第18世永世名人で,2013年には竜王と名人という最強タイトルの2冠であったことを考えると,早すぎる降級になってしまいました。それにしても来年のB級1組は,今年以上にたいへんなメンバーで戦われることになりそうです。佐藤九段は,最近のNHK杯でも若手を撃破するなど調子が上がってきていて,今期はかろうじて残留となりました。
 4月からの名人戦は,佐藤天彦名人と稲葉陽八段というフレッシュな対決です。稲葉八段は,初タイトル挑戦が名人戦ということになりましたが,関西の大先輩の谷川浩司九段と同じように,A級1期で一気に名人位に駆け上がれるでしょうか。数年前のNHK杯では,天彦名人が勝っていたと思いますが,それほど対戦はしていないはずです。天彦名人としては,ベテラン相手のほうがかえって戦いやすかったかもしれません(天敵の深浦康市九段は除く)が,どうなるでしょうね。
 女流名人戦は,里見香奈女流5冠が,上田初美女流三段(数日前のブログで女流初段と書いて失礼しました)を200手に及ぶ激戦の末に下して防衛しました。最終局はお互いの執念がぶつかりました。途中で上田さんにも勝ち筋があったようですが,最後は里見さんがうまくかわして,玉を安全地帯に逃がすことができました。
 ところで先日,初の外国人の女流プロが誕生したということがテレビのニュースでも話題になっていました。これを見た人は,プロ棋士が誕生したように誤解してしまいそうな報道の仕方だった気がします。里見さんたちは女流プロではあっても,正式な意味でのプロ棋士ではありません。女流プロをプロ棋士と呼んで間違いとまでは言えませんが,まさに現在里見さんがプロ棋士を目指して三段リーグで奮闘していることからもわかるように,女流プロのトップ棋士でも,本当の意味でのプロ棋士である四段になるのは至難の業なのです。
 女流プロというのは,いわば女性枠だけのもので,将棋のレベルということから考えると,現在は男性しかいないプロ棋士のレベルと格段の違いがあります(ときどき女流が男性プロ棋士に勝つことはありますが。稲葉八段も里見さんに負けたことがあります)。
 外国人が女流プロになるということは,グローバル化という点では良い話のようですし,暗い話が多かった将棋界にとっては明るいニュースでしょうが,それだけのことです。里見さんが四段になったとき,そしていつか男女に関係なく外国人がプロ棋士になったときこそ,ほんとうの価値あるニュースとなるでしょう(日本将棋連盟が外国人に入会を認めているかどうかは勉強不足でよく知りません)。

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