« フランチャイジーの労働者性 | トップページ | 内藤了『ON猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』 »

2017年2月11日 (土)

深水黎一郎『最後のトリック』

 つい先日読んだ『美人薄命』が面白かったので,今度はこの著者の代表作と呼ばれる『最後のトリック』(河出文庫)を読んでみました。
 単行本では「ウルチモ・トルッコ」というイタリア語のタイトルだったようです。Ultimo Trucco ですね。犯人は読者である,というトリックは,最後のトリック(イコールあり得ないトリック)なのです。この難題に取りんだ作品ですが,見事なものでした。ここで本書で使われたトリックを書いたら怒られますので,読んでのお楽しみです。
 途中で,超能力の話がどう関係するのかというところが気になっていたのですが,ここは見事に結論につながっています。
 ただ,あえて言うと,読者である個々人(私も含めて)は,厳密にいえば犯人ではありません。故意犯ではないからです。解説でも書いてありましたが,動機がないのです。むしろ自殺幇助という感じです。この点で「読者が犯人」ということについては,半分割引かなければなりません。
 この部分をどうみるかによって,本書への評価は分かれるでしょうが,厳密な意味での犯人ではなくても,このトリックに果敢にチャレンジしたことについて,私は評価したいと思っています。 ★★★★(深水ファンになりそうです)

|

« フランチャイジーの労働者性 | トップページ | 内藤了『ON猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』 »

読書ノート」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2388807/69562431

この記事へのトラックバック一覧です: 深水黎一郎『最後のトリック』:

« フランチャイジーの労働者性 | トップページ | 内藤了『ON猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』 »