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2017年2月19日 (日)

ハッシー強し

 今日のNHK杯は,王将奪取に王手を掛け,先日,A級復帰を決めたばかりの久保利明九段とハッシー八段の対局。先手の振り飛車穴熊の久保九段が,ダイヤモンド美濃のハッシーを完全に封じ込めたように思えましたが,劣勢のなか,決死の馬切りで活路を見いだし,金を犠牲にして龍と飛車を交換します。しかし攻めは,龍とと金の細いもので,一方,久保九段は1段目に飛車を打って,下段からハッシーの玉を追いつめます。久保九段完勝の流れでしたが,ハッシーが玉の逃げ道を作ると同時に攻めも睨んでいた7筋の歩突きで,ついに詰めろがかかる局面まで挽回し,そして最後は入玉もにらみながら,気づけば逆転していました。まさに大逆転ですが,劣勢のときは早指しで相手を調子づかせてミスを誘い,優勢になってからは,ハッシーの正確な指し回しが光りました。最後の大事なところで1分を残していて,万が一にもミスはしないという用意周到さも,ハッシーのプロ棋士としての能力の高さを示すものでした。前回の深浦康市九段相手にも大逆転でしたが,大物相手の連勝で,初優勝も視野に入ってきましたね。あとは昨年のように二歩はしないでくださいね。
  久保九段が昇級を決めたB級1組(ラス前)で,もう一人の昇級者の決定は,最終局に持ち越しとなりました。谷川浩司九段に勝った山崎隆之八段は8勝3敗で,次の阿久津主税八段に勝てば自力で昇級です。阿久津八段は,郷田真隆王将に勝っていれば,久保九段に次ぐ昇級候補の一番手になっていたのですが,敗れて7勝4敗となり,逆に3勝の郷田王将に残留の目が出てきました。ただ最終局で,阿久津八段が山崎八段に勝てば8勝4敗で星がならび,あとは同じ7勝4敗の豊島将之七段と糸谷哲郎八段(6勝5敗)との対局次第となります。順位の関係では,豊島七段,阿久津八段,山崎八段の順番なので,3人が8勝で並べば豊島七段の昇級となります(頭ハネ)。糸谷八段はライバルの豊島七段の昇級を阻止するでしょうが。山崎八段と豊島七段は,昇級すれば初のA級です。高い実力が評価されながら,B級1組で足踏みしている豊島七段,魅せる将棋で天才の誉れ高い山崎八段のどちらが昇級しても関西勢なので,嬉しいところです。阿久津八段も前は1期で全敗して陥落したので雪辱をねらっているところでしょう。
 ハッシーは木村一基八段に勝ち(6勝5敗),木村八段に残っていたA級復帰の可能性を絶ちました(木村八段は,7勝5敗で今期終了)。
 降級候補は,ともに3勝8敗である飯島栄治七段と郷田王将で,最終局で激突します。どちらも,負けた時点で即降級となります。飯島七段は勝っても,畠山鎮七段が勝てば降級です。畠山七段は,敗れれば即降級ですし,勝っても,郷田王将が勝っていれば降級となります。つまり郷田王将は勝てば残留,負ければ降級で,他人の対局結果に関係しない状況です。
 B級1組も,今期の最終局(3月9日)は,A級と同じくらいに盛り上がりそうです。
 タイトル戦は,佳境に入った王将戦(7番勝負)は,郷田王将が一矢を報いましたが,防衛には3連勝しなければならず厳しい状況が続いています。久保九段は王将奪回目前です。
 棋王戦(5番勝負)は,渡辺明棋王(竜王)が,千田翔太六段に勝って,1勝1敗です。勝負はこれからです。千田六段は,NHK杯でも,先週,佐藤康光九段(新会長)に敗れており,調子が下降線にあるのでしょうか。
 来週は,女流名人戦(5番勝負)の最終局もあり,里見香奈さんが女流五冠を守るかが注目されています。上田初美女流3段が2連勝し,里見さんが2連勝して星が並んでいます。ちなみに里見さんはプロ棋士(現在は女流棋士)をめざす三段リーグ(年2期)にも在籍しており,昨日まで7勝7敗です。今日も対局があります。三段リーグは上位2名が四段昇段(プロ棋士になる)で,3位の次点が2回であってもプロ棋士になれます(ただし,その場合は,順位戦のないフリークラスへの編入)。里見さんの今期の成績は厳しいですが,少しでも順位を上げておいて,次期以降の昇段の可能性を残しておいてほしいですね。三段リーグは26歳の年齢制限があり,もうすぐ25歳になる里見さんに残されているのは,時間との戦いになります(勝ち越せば29歳まで延長可)。
 そういえば,三浦弘行九段の復帰戦は,羽生善治三冠との一戦で,因縁の竜王戦の予選でしたが,羽生三冠の勝利でした。メディアでも大きく報道されましたね。

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