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2017年2月 6日 (月)

受難の正社員

  昨日の日経新聞の中外時評で,論説副委員長の水野裕司さんが,「AI時代の働き方改革 受難の『なんでもやる』正社員」という記事を執筆しておられました。拙著の書いているようなことだなと思って読んでいると,拙著『AI時代の働き方と法-2035年の労働法を考える』(弘文堂)が登場してきたので驚きました。
 私が昨年から,ことあるごとに主張してきていたのが,正社員受難の時代が来るということであり,もっというとジェネラリスト型の正社員の需要が減っていき,正社員を軸とした労働法や雇用政策が転換点を迎えるということです。拙著は,まさに,そうした問題意識から新たな労働法や雇用政策の構築の必要性を説いたものです。
 日本の企業も労働者も,AI時代の到来にむけて,なんとかなるという楽観論が多いのではないか,という危機感をもっています。そのうち発表されるでしょうが,ある調査では,企業には,AIを使って何をしてよいかわからないというところも多く,これでは世界の最先端からみると周回遅れという感じでしょう。企業がこんな状況なので,労働者はもっと厳しいです。これまで,日本の労働者は,正社員にならなければ十分な教育訓練の機会が得られなかったのですが,その正社員が減っていきますし,企業も周回遅れたのところが淘汰されて新陳代謝により,新技術を中心に使って事業を営む企業が中心になってくると,それに備えた教育訓練をどこがどのようにやるかがとても重要となります。
 というようなことを,NIRAのオピニオン・ペーパーでも発表し,また拙著『AI時代の働き方と法』でも書いています。産業政策はすでに変わろうとしているので,これからは企業が変わり,労働者も意識を変え,そして政府の雇用政策・教育政策も変わる,ということが必要です。変革も,正しい方向に向かわなければ破滅的になります。拙著は,そうした時代の転換において,政策の方向性についての試論を投げかけたものです。国民がもっと危機感をもって,この問題に関心をもってもらえればと思います。
 

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