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2017年2月26日 (日)

浦賀和宏『彼女は存在しない』

 前に読んだ『緋い猫』が少し気持ち悪かったのですが,この作家に興味を持ったので,出世作である『彼女は存在しない』(幻冬舎文庫)を読んでみました。面白かったです。多重人格者の話というのは,ミステリーとしてはちょっとずるいのですが,それでも十分に楽しめました。
 あるとき,彼氏である貴治と待ち合わせをせいていた香奈子は,「アヤコ」さんではないですかと声をかけられます。香奈子は,由子という女性から「アヤコ」と間違えられたことに違和感をおぼえます。
 亜矢子の兄である根本有希は,両親をなくし,妹と二人で住んでいますが,妹が多重人格になったことに苦しんでいます。有希の恋人の恵も,亜矢子のことを心配していました。
 そんなとき貴治が殺され,また根本兄妹の父の弟であった叔父も殺され,そして恵も惨殺されます。有希は,その犯人がすべて亜矢子であると考えています。この三つの殺人には,すべて共通の動機があったのです……。
 貴治と香奈子には,作家である共通の知人がいました。それが作家の「浦田先生」です。香奈子は,貴治の死後,浦田に対して,自分が幼少期から,父親にレイプされ続けていたという話をします。ところが,そんな香奈子に浦田先生は冷たい反応をします。
 ・・・というように話が進むのですが,浦田は身近な人を素材に小説を書く傾向にあり,香奈子は浦田の新刊に,自分が浦田に話したことがそのまま書かれていて愕然とします。
 しかし真相は違っていました。香奈子は実在していなかったのです。それはなぜでしょうか。
 グロテスクなシーンは,前の『緋い猫』にもありましたが,やっぱり気持ち悪いですが,『緋い猫』よりもミステリーぽくて面白かったです。 ★★★(この作家の本は,もう少し読んでみたいです)

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