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2017年1月29日 (日)

浦賀和宏『緋い猫』

  浦賀和宏『緋い猫』(祥伝社文庫)を読みました。
  17歳の洋子は,ヤクザ上がりで建設会社の社長をしている父を嫌い,父が憎んでいる「アカ」の佐久間という工員のことが好きになります。佐久間は,アカのグループのリーダーでしたが,あるときグループの2名が惨殺されます。佐久間は疑われ,そのまま故郷の青森に失踪します。洋子は,友人の良美を通じて,佐久間が洋子に故郷に来てもらいたいというメッセージを伝えます。そして洋子は青森に行くのですが,佐久間の父はやはりアカを毛嫌いする地主で,その村全体は何かを隠しているような不気味さがあります。佐久間の父も村中の人は,佐久間は帰ってきていないというのですが,佐久間が飼っていた赤い三毛猫をみかけた洋子は絶対に佐久間は帰ってきていると信じ,どういうわけか自分を客として扱ってくれる佐久間の父の家に滞在し続けます。その間,洋子は,佐久間をGHQのスパイと疑うジャーナリストに助けを求める手紙を送ります。
 という感じで,佐久間はどうなったのかというミステリー的な展開になりそうですが,話はまったく違う方向になり,洋子は監禁され,視力を奪われ,多くの男に犯されるという驚くような展開になり,そして最後は父に救出されるのですが,監禁されているときに彼女を外から支えてくれた男は実は・・・,というホラー的な終息となります。
 文章はとても読みやすいし,GHQのスパイとか,下山事件とか,プロレタリア文学とか,興味深いところも結構あったのですが,何と言っても後半の展開がグロテスクすぎて好きになれませんでしたね。 ★★

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