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2017年1月12日 (木)

日経新聞に登場

 今日は日経新聞朝刊に登場しました。昨日,電話でインタビューが来て,30分以上話したと思いますが,採用されたのは,そのごく一部です。おそらく記者がとくに印象に残ったところをとりあげたのでしょう。
 記者の問題意識としては,ホワイトカラーの長時間労働についてまで労基署が目を光らせるようになると,企業に過剰に萎縮効果が働かないかということがあり,そこで私にコメントを求められたようでした。
 これについての私の答えは,労働時間規制がある以上,それを遵守するのは当然で,電通の場合も含め,労働基準法違反行為があれば刑事罰がある以上,法人としての企業だけでなく,人事担当の上司(労働基準法10条を参照)も,使用者として書類送検になることまで十分覚悟していなければならない,というものです。
 ただ個々の事案について,企業の体質を問題視して,やみくもに経営者をつるし上げにするようなことは望ましくなく,それでは問題の抜本的な解決につながらないということも言いました。クライアント重視,消費者の重視,労働者の論理の軽視は,日本の多くの企業に共通するものなのです。ここから見直さなければならないのであって,そうした長時間労働の根底にある本質的な問題に切り込む報道をして欲しいということも述べました。
 一方で,これから企業に入る若者は,滅私奉公的な働き方をする覚悟で飛び込んでいくというのではダメだという,いつも言っている話もしました。自分の時間は自分のものという時間主権を取り戻すことが必要だということです。とはいえ,長時間労働イコール悪ということでもないのであり,若いときには,ある程度集中して仕事をすることにより,スキルを身につけることも必要であって,ポイントはいまやっていることが将来につながるような働き方かどうかを,自分でしっかり見極めることだということも述べました(拙著『勤勉は美徳か』(光文社新書)参照)。この点が,原稿に使われたようです。
 もう一つ,最初の萎縮効果との関係については,労基署が摘発していくことに,私はそれほど批判的でないということも述べました。この点は記者の方には意外であったようですが,私の理屈は,次のようなものです。現在の労働基準法の労働時間規制は非常に厳格であるので,だからこそそれを一部の労働者に対しては弾力化する必要があるというのが,私のエグゼンプションの議論です。しかしこれまでは,労働基準法の労働時間規制がしっかり遵守されていないため,この法制度の持つ本来の厳格さが認識されていませんでした。企業のほうも,規制をかいくぐることができる状況に安住して,本気になってエグゼンプションの必要性を考えたりしなかったのです。時たま残業代を減らすという目的だけでエグゼンプションを支持する経営者もいたりするのですが,これは真っ当な政策論議をする際には非常に迷惑な存在です。
 経営者としてはまずは労働時間規制をしっかり遵守しなければなりません。その上で,その規制が厳しいと感じるならば,それをしっかりと立法改正の動きにつながるよう意見表明していけばいいのです。おそらくそのときになって,これからの企業の中心となる知的創造的な働き方をするうえで,現在の労働時間規制が有害であるということがわかるでしょう。
 その意味で私は企業が萎縮をするというか,しっかりと法規制を守る方向で動いていことは,望ましいと考えています。
 というなことを話したのですが,なかなか記事にはならないので,ここに書いておきました。
 今朝の日経新聞で驚いたのは,厚生労働省が,転勤に関する研究会を始めたということです。まったく知りませんでした。そのような研究が始まってるのなら,今回のビジネスガイドの原稿でももう少し転勤のことについて,とんがったことを書いておけばよかったなと思いました。
 転勤について,私は育児や介護の負担という問題だけではなく,そもそもどうしてそれが必要なのかについてもっと考えるべきであるということを言っており,この部分は私はプロレーバーもびっくりの強硬な批判論者です。厚生労働省の研究会は,どういうメンバーがやってるのか知りませんが,しっかりした議論をしてもらえればと思います。

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