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2017年1月31日 (火)

インターバル規制と解雇の金銭解決

 昨日の国会で,蓮舫氏からのインターバル規制についての質問に,安倍首相が,「助成金の創設や好事例の周知を通じて自主的な取り組みを推進する」と答えたようです。やはり1日の労働時間の上限には,経済界からの抵抗が強く,さすがに安倍首相もそれは無視できず,強い規制の導入には慎重だ,というところでしょうか。
 EUにも例外規定があるとも答弁していますが,これは業種や職種などの特性からくるものです(EUの労働時間指令の17条以下)。そこは,拙著の『労働時間制度改革』でも紹介していませんが,もちろん労働時間規制は厳格にすればするほど,そこに例外が必要となるのは当然のことで,これはやむを得ません。ただ,それらは業務や職種の客観的な性質から説明のつく正当なものです。繁忙期の例外とか,そういうものを認めるものではありません。
 私見では,インターバル規制は,自主的な取組の推進ではなく,労働基準法の改正でやるべきです。適切な例外は設定してもよいのですが,1日(連続24時間)の労働時間の上限をきちんと設定することこそ,労働者の健康確保に必要だということを再確認しておきたいと思います。民進党も,ここは攻めどころだと思いますけどね。ちなみに私は週休制の貫徹(休日労働の制限や4週4日という変形休日制の制限も主張していますが,これはまだ採りあげられていませんね)。
 もう一つ,今朝の日経新聞には,解雇の金銭解決のことも出ていました。たぶん「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」が開催されたのですね。新聞記事に出ているかぎりでは,相変わらず,同じような論点で行ったり来たりのようです。これは新しくなるはずの労政審か,専門家会議で,日本の労働市場の未来志向の改革という高次の観点から,議論してもらいたいです。どういう制度なら,自分たちに損か得かなんて議論をしていたら,永遠に終わりませんので。金銭解決については,拙著『解雇改革』(中央経済社)で提言はしていますが,新刊の『AI時代の働き方と法ー2035年の労働法を考える』(弘文堂)でも,これからの労働法のあり方として重要なので,ホワイトカラー・エグゼンプションと並んで,しつこく扱っています(第5章)し,さらにこれとは別に経済学との共同研究も進行中です(この共同研究はもっと早く完成するはずだったのですが,諸事情から難航しています。厚労省の動きもみながらということもあります)。
 労働時間と解雇は,拙著でも扱っているものの,これは「2035年の労働法を考える」ではなく,2020年に向けた喫緊の政策課題と位置づけるべきです。これをどうまとめていくのか。論点はほぼ出揃っているので,あとは政府のお手並拝見です。

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