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2017年1月13日 (金)

三浦騒動の影響を受けるA級順位戦

 今期のA級順位戦は,前代未聞の変則形態となりました。昨年末に谷川浩司日本将棋連盟会長から出された発表により(http://www.shogi.or.jp/news/2016/12/post_1492.html),三浦弘行九段は12月までの出場停止期間に2つの不戦敗があったことを考慮し,今回は自動的に残留となり,残りの対局もなし(すでに決まっている対戦相手は不戦勝)となります。その結果,A級からの降級は2名ではなく1名となり,来期は本来の10名ではなく11名で戦うことになります。11名というのは,かつて(1984年)大山康晴名人が,ガンの手術で休場したために,降級とはならず,翌年は順位11位となったという例を覚えていますが,今回の三浦九段もそれと同じような取扱いになるようです。来期のA級は降級が3人となります。
 それで今期のA級ですが,10日,羽生善治三冠と佐藤康光九段は,羽生勝ちで,佐藤康光九段は1勝6敗で苦しくなりました。羽生三冠は次の三浦戦が不戦勝になり,自動的に7勝2敗となります。同日行われた渡辺明竜王と深浦康市九段は,渡辺勝ちで4勝3敗ですが,すでに名人挑戦の可能性はなく,残留も確定しました。深浦九段は敗れて3勝4敗ですが,三浦戦が残っていたことがラッキーで自動的に4勝4敗となり,残留が確定しました。渡辺竜王は,今期の三浦九段の唯一の勝利の対局に敗れたのが痛かったですね。まあこの一局が例の三浦騒動を引き起こしたのですが……。
 11日は,全勝の稲葉陽八段が行方尚史八段に勝ち7連勝。これで残り2局連敗しても,最悪でもプレーオフ進出は確定し,名人挑戦にぐっと近づきました。行方八段は4勝3敗で挑戦の可能性はなくなりました。
 12日は,広瀬章人八段が屋敷伸之九段に勝ち5勝2敗。プレーオフ進出の可能性を残しました。屋敷九段は3勝4敗で,同星の深浦九段より順位が上ですが,深浦九段のように三浦戦の不戦勝がないので,降級の可能性が残っています。
 これで稲葉八段が残り2戦のうち一つ勝てば名人挑戦決定。羽生三冠は残り1戦,広瀬八段は残り2戦を勝つと,稲葉が2連敗した場合にかぎり,プレーオフの進出可能性が残ります。降級は,1勝の佐藤康光九段と,三浦戦の不戦勝でラッキーな2勝目をあげた森内俊之九段と,3勝の屋敷九段のなかからの1人に限られました。佐藤九段は,残り2連敗すれば降級。1つ勝っても,2勝5敗の森内俊之九段が残り2戦のうち1つでも勝てば降級。残り2連勝して3勝6敗になった場合は,少し複雑です。次が森内九段と屋敷九段戦であるため,屋敷九段が森内九段に勝って4勝目をあげれば,森内九段が最終戦に勝っても3勝どまりなので,順位が佐藤九段よりも下の森内九段の降級となります。一方,森内九段が屋敷九段に勝って3勝5敗で並んだとき,最終戦で森内九段(対稲葉八段)か屋敷九段(対羽生三冠)のどちらかが敗れれば,どちらかが3勝6敗となるので,順位の上の佐藤九段は残留で,敗れたほうが降級。森内九段と屋敷九段がどちらも敗れて3勝どまりであれば,順位が下の森内九段が降級。要するに,屋敷九段が降級するのは,佐藤九段と森内九段が残り2連勝し,自身が2連敗した場合だけとなります。
 次の第9局で佐藤九段が深浦九段に勝ち,森内九段が屋敷九段に勝てば,最終局は血みどろの戦いになる可能性がありますね。このとき,もし第9局で,稲葉八段が渡辺竜王に負けて,広瀬八段が行方八段に勝っていれば,最終局は,降級にかかわる3人が,全員,挑戦にかかわる3人と対局することになり,近年まれにみるドラマティックな「将棋界のいちばん長い日」になる可能性があります。

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